NO.10389757
みんなで難関大数学を攻略しよう!
-
0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
-
今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!
では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)
解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2
本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
-
138 名前:匿名さん:2005/09/11 12:46
-
別解:
等比数列の和の公式より、λ≠1のとき、
1 + λ+ λ^2 +…… +λ^(n-1) = (1-λ^n)/1-λ
ここでλ= cosθ+ i sinθ (cosθ≠1)とおくと、
右辺 = Σ{k = 0~(n-1)}cos kθ + i Σ{k = 0~(n-1)}sinkθ
左辺 = {(1- cos nθ) - i sin nθ}/{(1- cos θ) - i sin θ}
= 2sin (nθ/2)・{sin (nθ/2)- i cos (nθ/2)} /2sin (θ/2)・{sin (θ/2)- i cos (θ/2)}
= sin (nθ/2) ・{cos ((n -1)θ/2) + i sin((n -1)θ/2)} / sin (θ/2)
= sin (nθ/2) ・{cos ((n -1)θ/2) }/ sin (θ/2)+
i sin (nθ/2) ・{sin((n -1)θ/2)} / sin (θ/2)
よって両辺の虚部を比較して
Σ{k = 0~(n-1)}sinkθ= sin (nθ/2) ・{sin((n -1)θ/2)} / sin (θ/2)
ここで、θ= π/8, n = 8 とおけば、
Σ{k=0~7}sinkπ/8 =sin(7π/16) / sin(π/16) = cos(π/16) / sin(π/16)
= 1/tan(π/16)
ここで一般にtanθ>θ 〔0<θ<π/2〕であるから、tan(π/16) >π/16
よってΣ{k=0~7}sinkπ/8 = 1/tan(π/16) <16/π
またsin0 = 0に注意すれば、これはΣ{k=1~7}sinkπ/8 <16/π ∴示された。
-
139 名前:匿名さん:2005/09/11 12:48
-
別解の解説:
Σ{k = 1~n}sinkθ, Σ{k = 1~n}coskθの求め方は例えば上のようであるが、
これくらいは知識として覚えておいて欲しい。(計算結果を自力ですぐ導けるように)
尚、上の解答で左辺の計算途中に、
1- cos θ = 2{sin(θ/2)} ^2 , sinθ = 2sin(θ/2) cos(θ/2)
を使ったが、この3角関数の公式は大変重要なので、使いこなして欲しい。
逆に、(sinθ)^2やsinθcosθ がsin2θ , cos2θの一次式で表せることも重要で、
積分計算や、三角関数の最大、最小問題(sin2θ , cos2θの一次式の形になれば、合成の
公式によりさらに1つの変数までまとめられる。)などでとても大切である。
-
140 名前:元塾講師:2005/09/13 12:22
-
>>138
別解のところの右辺と左辺が逆に書いてますので訂正しといて下さい。
-
141 名前:元塾講師:2005/09/13 12:24
-
では、多数の文字が入った式(多変数関数)の扱いについて、しばらく見ていくことにします。
有名不等式も出てくるので、それらも使いこなせるように訓練してみて下さい。
なお、私が考える3大(受験数学用)有名不等式は、相加平均≧相乗平均 と ,
Cauchy - Schwartz の不等式 と もう1つ何か分かりますか?
-
142 名前:元塾講師:2005/09/13 12:25
-
問24:
a , b ,c を正の数とするとき、不等式2{(a + b )/2 - (ab)^1/2}≦3{(a + b +c)/3 - (abc)^1/3}
を証明せよ。また等号が成立するのはどんな場合か。
(1978 京大)
尚、問題の原本が見たい人はここにアクセスして下さい。
http://hw001.gate01.com/akiyoshi/index.html
-
143 名前:元塾講師:2005/09/13 12:26
-
解答:
右辺 - 左辺 = {a + b +c - 3 (abc)^1/3} - {a + b - 2 (ab)^1/2}
= c + 2 (ab)^1/2 - 3 (abc)^1/3
= Y^3 - 3X^2・Y + 2X^3 〔X = (ab)^1/6 , Y = c^1/3 とおいた〕
= (Y-X)^2・(Y+2X)
ここで、a , b ,c を正の数とするときX >0 , Y >0 であるからこれは0以上。∴示された。
また、右辺=左辺となるのは、Y = X ⇔c^2 = ab のとき (答)
-
144 名前:元塾講師:2005/09/13 12:27
-
解説:
引いて0以上を示すという単純な解法だが、その変形にはとても大切な数学の考え方が含ま
れているので、じっくり研究しなければならない解答である。
注目すべきは、式を見やすくするためにどのように置き換えているかという点と、
多変数関数を扱う時に、一文字について整理して(因数分解して)いる点である。
一文字について整理することは、後に述べる独立多変数関数の扱いに関する文字固定法
(予選決勝法)に通じる考えになる。
-
145 名前:元塾講師:2005/09/13 12:28
-
別解:
右辺 - 左辺 = {a + b +c - 3 (abc)^1/3} - {a + b - 2 (ab)^1/2}
= c + 2 (ab)^1/2 - 3 (abc)^1/3
ここで、相加平均≧相乗平均なので、
c + 2 (ab)^1/2 = c + (ab)^1/2 + (ab)^1/2≧3 (c・(ab)^1/2・(ab)^1/2)^1/3 = 3 (abc)^1/3 ?
よって右辺≧左辺。等号は?の等号が成立する条件を考えて、
c = (ab)^1/2 = (ab)^1/2 ⇔ c^2 = ab のとき (答)
-
146 名前:元塾講師:2005/09/13 12:30
-
別解の解説:
本問が相加平均と相乗平均に関する問題だなということは明らかであるが、証明についても
c + 2 (ab)^1/2 - 3 (abc)^1/3 の段階で相加平均≧相乗平均が使えることに気づかなければ
ならない。例えば、簡単な例であるが、
m>0のとき、m^2 + 1/mの最小値は?などという問題の場合、微分法一辺倒の解答をするの
ではなく、 m^2 + 1/m = m^2 + 1/2m + 1/2m ≧ 3(1/4)^1/3
としてすっと答えを出すとか、問1で述べたように、分数関数では分子又は分母を
reduction(次数下げ)して積=一定の形を作ってから相加平均≧相乗平均を使うなど、
うまく使いこなせれば、いろいろな分野で計算を減らして要領よく正確な答えを出せるように
なる。
-
147 名前:元塾講師:2005/09/13 14:33
-
問25:
a,b,cが正数のとき、a^4+b^4+c^4≧abc(√bc+√ca+√ab)を示せ。
(出典:奥田猛?)-スレ「奥田猛」より引用
-
148 名前:匿名さん:2005/09/13 14:34
-
解答:
a^4+b^4≧2a^2b^2, b^4+c^4≧2b^2c^2, c^4+ a^4≧2c^2a^2 (∵相加平均≧相乗平均)
辺々加えて2で割って a^4+b^4+c^4≧a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2 ?
また、a^2b^2+b^2c^2≧2acb^2, b^2c^2+c^2a^2≧2bac^2, c^2a^2+a^2b^2≧2cba^2 より、
辺々加えて2で割って a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2≧acb^2+bac^2+cba^2 ?
更に、acb^2+bac^2≧2abc√bc, bac^2+cba^2≧2abc√ac, cba^2+acb^2≧2abc√abより、
辺々加えて2で割って acb^2+bac^2+cba^2≧abc(√bc+√ca+√ab) ?
?、?、?より a^4+b^4+c^4≧abc(√bc+√ca+√ab) .
(尚、等号は???のすべてにおいて等号が同時に成立するa = b = c のとき。 )
-
149 名前:元塾講師:2005/09/13 14:35
-
解説:
ポイントはバランスの取れた数式の扱い 。
大学受験には出にくいタイプの問題ではあるが、相加平均≧相乗平均に対する認識を確認する
意味では目を通しておくと有益な問題と考える。式の形から相加平均≧相乗平均を使うことに
ピンと来て欲しいし、バランスをいかにとって行くかを考えなくては正解に至らないであろう。
-
150 名前:通りすがり:2005/09/13 16:22
-
現塾講師です。全く頭が下がります。月並みですが応援していますよ。
おせっかいですが、年内完結を目指されてはいかがでしょう。
-
151 名前:匿名さん:2005/09/13 16:24
-
このスレすごいねw
-
152 名前:○○社:2005/09/14 08:11
-
ここまでの良スレは未だかつて見たことが無い
1はネ申
-
153 名前:匿名さん:2005/09/14 12:59
-
2chから湧いてきた奴がいるし
-
154 名前:匿名さん:2005/09/15 03:09
-
>>29の問題は
e<πであることを使って証明してもOKですか?
-
155 名前:元塾講師:2005/09/15 12:25
-
>>154
e<πなど使う必要はありません。e≠πであれば、g(π)<g(e)なのです。(g(x)はx = eのとき最大なので)
問題だけ出して、解答・解説をつけないのでは、自分の答案と比較する機会がなく、
間違えて理解しかねないので簡単に解答をつけておきます。
解答:
π^e<e^π⇔e (log π)<π ⇔(log π)/π <1/e ?
ここでg(x)=(log x)/x {定義域x>0}の増減を調べると、>>16解答その1に示したように
g(x)はx = eのとき最大値1/eをとるので、g(π)<1/e 。よって?が言える。
(答)π^e<e^π
-
156 名前:元塾講師:2005/09/15 12:35
-
問26:
実数x , yがx ≧y ≧1を満たすとき、次の不等式が成立することを示せ。
(x + y -1) log 〔2〕 (x + y) ≧ (x -1) log〔2〕 x + (y - 1) log〔2〕 y + y
(2000 京大文系後期)
表記上の注意:log〔2〕 x とは2を底としたxのlogarithm(対数) のことである
-
157 名前:元塾講師:2005/09/15 12:40
-
解答:
右辺 = (x -1) log〔2〕 (x + y) + y log〔2〕 (x + y)
≧ (x -1) log〔2〕 x + y log〔2〕 (2y) 〔∵ x ≧y ≧1 〕
= (x -1) log〔2〕 x + y ( 1 + log〔2〕 y )
≧ (x -1) log〔2〕 x + (y - 1) log〔2〕 y + y 〔∵ y ≧1 よりlog〔2〕 y ≧0〕
= 左辺 ∴示された
-
158 名前:元塾講師:2005/09/15 12:52
-
解説:
左辺で文字間のバランスが既れている点で、x, yのバランスを重視した扱い(問25のように)
をしても無理で、そう言う意味では、きれいな方針の立てにくい問題であるが、以下のよう
に考えてみた。右辺と左辺を比較するとき、右辺を左辺の形に近づけようとするのが常である。
そのとき、(x + y -1) log 〔2〕 (x + y)を (x -1) log 〔2〕 (x + y) と y log 〔2〕 (x + y) と
分解するか、x log 〔2〕 (x + y) と (y - 1) log 〔2〕 (x + y) と分解するか、
(x -1) log 〔2〕 (x + y) と(y - 1) log 〔2〕 (x + y) とlog 〔2〕 (x + y)に分解するか
であるが、左辺に+ yがあるのに注意したい。例えば(y - 1) log 〔2〕 (x + y)という形で分解した場合、
これと左辺の(y - 1) log〔2〕 yという形とは比較しやすいが、この段でlogの係数y を
使い果たしてしまうと左辺の+ yの部分と比較するものが無くなる。( log 〔2〕 (x + y) とyでは
比較にならない。yが十分大きければlog 〔2〕 (x + y) << y であるから。)
そこで右辺を解答のように分解し、y log 〔2〕 (x + y) と (y - 1) log〔2〕 y + yの比較を議論
した。この比較においても、下記の、独立2変数関数の扱い方を知っていると、便利だろう。
つまり前者でx をx ≧yの範囲で動かした時の最小値はx = y のときだと考えるのである。
-
159 名前:元塾講師:2005/09/15 12:55
-
別解: 実数x , yがx ≧y ≧1を満たして動く時の、
関数 f (x,y)= (x + y -1) log 〔2〕 (x + y) - {(x -1) lo〔2〕 x + (y - 1) log〔2〕 y + y }
の動き(最小値)を考える。その為に、まずyを固定して考え(1以上のある数に固定、つまり
定数として扱う)これをxの関数としてg(x)とすると、
g'(x)= log 〔2〕 (x + y) + (x + y -1) ・1/(x + y) - {log〔2〕 x + (x -1) ・1/x }
= { log 〔2〕 (x + y) - log〔2〕 x } + y/x(x+y) >0
よってg(x)はx ≧y の範囲で単調増加関数なので、
xがx ≧y を満たして動く時 g(x)の最小値はg(y) ここに
g(y) = (2y - 1) log 〔2〕 (2y) - {2(y - 1) log〔2〕 y + y }
= (2y - 1){1 + log〔2〕 y } - {2(y - 1) log〔2〕 y + y } = log2 y + y - 1 ≧0 〔∵ y ≧1 〕
よってf (x,y)=g(x)≧g(y) ≧0 ∴示された。
なお、x = y かつ y = 1のとき(⇔x = y= 1のとき)上の2つの等号が同時に成立する。
-
160 名前:元塾講師:2005/09/15 12:59
-
別解の解説:
本問題集の配列からはこっちが本解です。文字式を関数として扱うという視点に立ち、
いわゆる多変数関数の一般的な扱い方を示した。面白い解答ではないが、逆にいえば
普遍的、万能な解答で必ず出来なければならない解答である。
示すべきは右辺 - 左辺の関数が(x、yが条件内でどのように動いても)常に0以上
であることである。これを関数論として考えるならば、この右辺 - 左辺は独立2変数
関数である。
この場合どちらも変数だからといって2文字を一辺に動かしても、訳がわからなくなる
ので、まずは一方、例えばy をある値に固定して、動くものを1つにし、xの動きに対
して関数がどのように動くか、どのような最小値をとるかを考える。
最小値を与えるxはyの入った式になることも多く、その最小値はy の文字で表現できる。
各y に対して、これが関数の最小値なのだから、更にyがいろいろな値を取って動くとき、
このyの関数の最小値を求めればよい。
これが、最小の中の最小である。(予選決勝法)
以上を式で表現すればf (x , y)≧ g(y) ≧M (☆) 。
このとき、f (x , y)の最小値はMといえる。
-
161 名前:元塾講師:2005/09/15 13:04
-
補足を加えると、なぜなら、
p(x)の最小値がI ⇔ 「すべてのx に対しp(x)≧I 」かつ「あるxがあってp(x)=I 」
であるが、(☆)において等号成立は第1不等式に関してはx = ψ(y) であり、第2不等式に
関しては y = k (=定数) のときであるので、x = ψ(y)かつy = k のようなx , yを考
えれば(☆)の2つの不等式の等号を同時に成立させ、f (x , y) = Mが実現できるので
ある。
この等号同時成立が可能なのは、「独立」多変数関数を考えているからだという、理論的構造
をよく理解しないといけない。(x, yが従属しているつまりyを決めるとxが自動的に決まる
のなら、x = ψ(y)かつy = k のようなx, yはとれない恐れがあり等号同時成立しなくなる
ことが考えられるため。このときf (x , y)>Mであり、Mは取り得ない値であるから、
最小値といえなくなる )
等号同時成立し得るから最小値がMであるという論理的構造をよく理解すること。
そして予選決勝法の基本はあくまで「独立」多変数関数において使うことをよく確認して
おきましょう。
-
162 名前:元塾講師:2005/09/15 13:23
-
>>150,152,153
有り難うございます。
こんなに読んでくれている人がいたなんて感激です。
つまらない一市民の数学観ですが、高校数学の考え方を50~60問に凝縮したいと思っています。
年内に完成できるよう頑張って見ます。
なるべく基礎的、普遍的な考え方での解答を作っていますので、参考になる考え方あれば
どんどん利用して下さいませ。でも、より応用性のある解答指針があれば教えて下さい
(高度な数学的事実を使ったり、マニアックなのは好きでないですが)。
切磋琢磨してはじめてよい物が出来ると思いますので。
-
163 名前:元塾講師:2005/09/15 13:28
-
問27:
xyz空間内の点P ( 0, 0 ,1)を中心とする半径1の球面Kがある。
K上の点Q ( a ,b ,c )が条件a>0 ,b>0 ,c>1のもとでK上を動くとき、QにおいてKに
接する平面をLとし、Lがx軸 , y軸 , z軸 と交わる点A , B , Cをとする。このような
三角形ABCの面積の最小値を求めよ。
(1987 東大)
-
164 名前:元塾講師:2005/09/15 13:30
-
解答: L上の点X ( a ,b ,c )が満たすべき条件は
ベクトルPQ⊥ベクトルQX ⇔ベクトルPQ・ベクトルPX = │ベクトルPQ│^2
よってPQ = 1より これを整理して ax + by + (c -1)z = c
これが平面Lの方程式である。これとx軸 , y軸 , z軸との交点を求めて
A (c /a , 0 , 0 ) B ( 0 , c /b , 0 ) C ( 0 , 0 , c /( c- 1) )
∴ ベクトルAB = (- c /a , c /b , 0 ) , ベクトルAC = (- c /a , 0 , c /( c- 1) )
よって△ABC = 1/2 √{│ベクAB│^2 ・│ベクAC│^2 - (ベクAB ・ベクAC)^2}
= 1/2 √{(c^2 /a^2 + c^2 /b^2) ・(c^2 /a^2 + c^2 /(c -1) ^2) - (c2/a2)^2}
= c^2 /2ab(c -1) 〔∵ a>0 ,b>0 ,c>1 , a^2 + b^2 + (c-1) ^2 = 1 (※) 〕
-
165 名前:元塾講師:2005/09/15 13:32
-
ここでa ,b ,cが(※)を満たして動くときのこの関数の最小値を考える。まず、
cを1<c (<2)の範囲で固定して考えるとa , bは a>0 ,b>0, a^2 +b^2 = 2c - c2を満た
して動くことになり、このとき 2c - c2 = a^2 + b^2 ≧ 2ab より2abはa = b (= √(c - c^2/2) )
のとき最大値2c - c2をとる。∴ △ABC≧c^2 / (2c - c2) (c -1) = c / (2 - c) (c -1)
次に、f (c) = c / (2 - c) (c -1) とおくとf (c) = c /(-c^2 + 3c - 2) = 1/{3 -(c +2/c)}であり、
1<c (<2)のとき3 >c + 2/c ≧2√c・(2/c) = 2√2 〔等号はc = √2のとき〕であるから
f (c) ≧1/(3 -2√2) = 3 + 2√2 。 以上より、a = b (= √(c - c^2/2) )かつc = √2 のとき
△ABCの面積は最小値3 + 2√2 をとる。 (答)
-
166 名前:元塾講師:2005/09/15 13:34
-
解説及び別解分枝:
平面LはベクトルPQ = ( a , b , c-1 )に垂直な平面、即ちベクPQを法線ベクトルとする平面
なので、ax + by + (c -1)z = k と書ける。あとは更に点Qを通ることから定数kを決めればよい。
ところでなぜ法線ベクトルが直線や平面の式の係数として現れるかは分かりますね?
これは法線ベクトルをnとした場合、平面ないし直線の式は、通る1点の位置ベクトルをベクpと
すると、 ベクn・(ベクx -ベクp) = 0 ⇔ ベクn・ベクx = k(定数)と書けるので、
これを成分表示すれば ベクnとベクx の内積が方程式として現れてくるからと考えてもらえば
よいでしょう。
上の解答では、2つの(辺)ベクトルで形成される三角形の面積の公式を用いて求めたが、
△ ABCの面積の求め方は三角錐O -ABC の体積はを2通りで表すことにより求めてもよい
でしょう。即ち、三角錐O -ABC の体積は一方では、△OABを底面、OC を高さと見て、
1/6・c /a ・c /b ・c /( c- 1) と表せれ、他方では△ABCを底面、Oと平面Lとの距離
│c│/√{a^2 + b^2 + (c-1) ^2} = c を高さと見て、1/3・c ・△ABC
1/6・c /a ・c /b ・c /( c- 1) = 1/3・c ・△ABC ∴ △ABC = c^2 /2ab(c -1)
-
167 名前:元塾講師:2005/09/15 13:36
-
この多変数関数の扱いであるが、まずバランス感覚から言ってcを固定すれば、その固定
したcにたいしての上記関数の最小値がc を含んだ形で求まるでしょう。
あとはここでcをいろいろ変えていく中での(cを動かす中での)このcの関数の最小値
を求めればよい。まさに最小の中の最小である。(文字固定法=予選決勝法)
もう少し詳しく述べると、本文はa ,b ,cの変数あるが、1つの拘束条件があるので、
実質2変数関数である。ならば一文字を固定すれば、残るは残った一文字に関する1変数
関数となり、その変化は微分法なりで解析できる。どの文字を固定するかを考えれば、
登場回数が最も多いかつ、バランスから外れているcを固定するのが普通だと考える。
最後のcの関数の扱いは、微分法による解析に依るまでもなく、1次式/2次式という
分数関数なので相加平均≧相乗平均を使える形に必ず持っていけることに注意したい。
(問1の解答その3参照)
-
168 名前:元塾講師:2005/09/15 14:47
-
>>166について:
初心者の方には、初めに書いてることの意味が分かりにくかったと思いますので、具体的に
教えておきますと、例えば直線2x + 3y = 5 ?とは?式を満たす点(x , y)の集合ですが
? 式 ⇔ 2x + 3y = 5 ⇔2( x - 1) + 3( y - 1) = 0 ⇔(2 , 3)・(x - 1, y - 1)= 0
⇔(2 , 3)⊥(x - 1, y - 1)
であるから、これを満たす点(x , y)は点(1, 1)を含めここから、ベクトル(2 , 3)に垂直にすす
んだ位置にあればよく、このような点の集合は直線を形成するのです。
つまりなぜ?が直線の式になるのか、なぜ係数が法線ベクトルを表すのかについて言えば
直線の式にしろ、平面の式にしろ左辺は定ベクトルと(x , y)〔または(x , y , z)〕との内積の形
をしており、定数項を一方に集め=0の形にしたとしてもやはりこの式の左辺は内積の形で表現できるか
らである。
ところで数式を考えていく場合 =0 の形にして左辺を積の形にしていくことが
式を解析していく上でとても大事な数学の手段であることは既に述べた。(<<29を参考)
つまり、この「積の和を内積とみる」というのは式の解釈(方程式を解く)において超基本重要である。
(因数分解と同程度の基礎事項)
-
169 名前:元塾講師:2005/09/15 14:49
-
更に補足すれば、このように「積の和を内積とみる」考え方は、(方程)式の解釈において
このように重要であるが、それのみならず積の和の値域の不等式評価にとっても重要な変形
である。
即ち、-│ベクa││ベクb│≦ベクa・ベクb≦│ベクa││ベクb│という
Cauchy - Schwartzの不等式に繋げるのである。
-
170 名前:元塾講師:2005/09/15 14:55
-
例えば問1 解答その1では
?の左辺において分母 = √(2x + y) = r (⇔{√(2x)}^2 +{√y}^2 = r^2)
と固定して、この固定したr に対し、円のパラメータ表示を使えば
√(2x) = r cosθ , √y = r sinθ と1パラメータθで表示できるとやったと思うが、
(もっとも、後でこの固定した'定数' rを動かす必要もない。分母、分子が1/2乗の同次式
であることを考慮すればrが消去されるのは明らか。なお前は分母=rと置き換えたと表現
したが式の扱いに関しては置き換えてシンプルにするという表現で言いが、多変数関数を扱
うときは固定したとする表現が適切である。同じことと思う方もいるかもしれないが、与
えられたものを漠然と式としてみるか、変数で構成される関数と見るかで表現を変えたほ
うが読み手にもどちらの考えをもって式を扱うつもりなのかが伝わり、指針を読み手に伝
えやすい)
このとき、?の左辺は(1/√2) cosθ + sinθ と簡単に表示される。これは、
積の和であり、これを2ベクトル(1/√2 , 1) と (cosθ, sinθ)の内積と解釈する習慣
(>>168で示したように、積の和⇔内積)があれば、Cauchy - Schwartzの不等式より
(1/√2) cosθ + sinθ ≦│(1/√2 , 1)││(cosθ, sinθ)│= √(3/2) と評価できる。
尚Cauchy - Schwartzの不等式の等号成立は内積が大きさの積に等しいのだから、
2ベクトルのなす角が0かπのとき。(前者はCauchy - Schwartzの不等式の右の等号、
後者は左の等号)
-
171 名前:元塾講師:2005/09/15 15:06
-
話がそれてきましたが、「多変数関数の扱い」を今後もう少しやります。
-
172 名前:元塾講師:2005/09/15 15:14
-
>>164 訂正!
L上の点X ( a ,b ,c )が満たすべき条件は
→ L上の点X ( x ,y ,z )が満たすべき条件は
-
173 名前:図書館浪人:2005/09/15 23:19
-
はじめましてー。これからはじめから解いていこうと思います。
質問しまくると思いますがよろしくお願いします
-
174 名前:155でつ:2005/09/16 02:10
-
よく考えればそうですね。
ありがとうございます。
(方針も自分が考えたものと全く同じでした)
-
175 名前:匿名さん:2005/09/16 07:50
-
問1の愚直なスタイルの回答
右辺≧左辺>0だから、両辺をそれぞれ2乗して比較して構わない。
さらに√x=αと置いて右辺^2-左辺^2を作ると、与式は
(k^2)(2α^2 + y)ー(α^2 + 2・√y・α +y)≧0
(ただし、α>0) と同値。
αについて降べきの順に整理して、与式はさらに
(2k^2 -1)α^2 - 2√y・α + (k^2-1)・y ≧0 と同値。
左辺をαの関数としてグラフを考えれば、題意を満たすためには
2k^2-1≧0でなければならないのは明らか。このとき、、左辺が
最小値を取るのは、α(=√x)=√y/(2k^2-1) となり、これは
確かにα>0の範囲にある(これを端折ると減点だろうなぁ)。
この式左辺をαについての2次式とみて判別式Dをとると、
D/4 = y -(2k^2 -1)(k^2-1)・y
= y{ 1-(2k^2 -1)(k^2-1) }
y>0より、k^2=κ(κ≧0)とおいた上で上の式を整理して
-2κ^2 + 3κ≦0
これよりκ≧3/2 → k<0は明らかに不適だから、k≧√(3/2)。
判別式を取るとyが消えちゃうのが、タナボタ的ではありますが。
-
176 名前:元塾講師:2005/09/16 13:30
-
>>175
まず、証明すべき内容を分かりやすく言い換えていく(同値変形)。
更に文字式の証明をしっかり関数論として考え、すべての~に対し0以上の証明→最小値でさえ0以上
という考えを使えています。
この2つの重要ポイントを把握している答案なので、とても模範的な解答だと思いますし、
正しい論証が出来ていますね。
もし、yが消えなければ、すべてのy>0に対しD≦0を満たすkの条件を求めていくだけで
同じような考えを繰り返すだけですので、普遍性があります。初めにyを固定し
αを動かした時での条件を求め、次にyを動かして考えるというのは文字固定法の
考え方です。
尚、細かいことを言えば、2k^2 -1= 0 のときは、2次式にならないのでこのときに題意が満たされるかは
別個に議論したほうがいいのと、判別式という言葉は2次方程式に関するものなのでその点も注意しましょう。
-
177 名前:図書館浪人:2005/09/19 08:42
-
パソコン見ながらだとやりづらいからプリントアウトしてみたのだが五十枚。。笑
がんがります。
-
178 名前:元塾講師:2005/09/19 10:02
-
問28:xy平面内の領域-1≦x≦1, -1≦y≦1において1 - ax - by - axyの最小値が正とな
るような定数a, bを座標とする点(a, b)の範囲を図示せよ。
(2000 東大文系)
-
179 名前:元塾講師:2005/09/19 10:10
-
解答: x,yが -1≦x≦1, -1≦y≦1を満たして動くときの
1 - ax - by - axy = -a(1+y) x + (1-by) の最小値mについて考える。
yを -1≦y≦1の範囲のある値に固定して考え、上のxの(1次以下の)関数をf(x) とおく。
?)a>0のとき: -a(1+y)≦0であるから、f(x) の-1≦x≦1における最小値は、x = 1の時で、
f (1) = 1- a - (a + b) y ここでyを -1≦y≦1の範囲で動かして考えると、
これはy = -1か1のと最小値をとり、m = min{1 + b , 1 - 2a - b }
?)a = 0のとき: -a(1+y) = 0であるから、f(x) は定数関数1- by であり、
ここでyを -1≦y≦1の範囲で動かして考えると、
これはy = -1か1のと最小値をとり、m =min{1 + b , 1 - b }
?)a<0のとき: -a(1+y)≧0であるから、f(x) の-1≦x≦1における最小値は、x = -1ので、
f (-1) = 1 + a + (a - b) y ここでyを -1≦y≦1の範囲で動かして考えると、
これはy = -1か1のと最小値をとり、m =min{1 + b , 1 + 2a - b }
以上より、求める条件m> 0というのは
a>0のとき1 + b >0 かつ 1 - 2a - b > 0
a = 0のとき1 + b >0 かつ 1 - b >0
a<0のとき1 + b >0 かつ 1 + 2a - b > 0
これを満たす点(a , b)の範囲を図示すると、点(0 , 1)、点(1 , -1)、点(-1 , -1)を3頂点と
する三角形の内部になる(図は略、境界は含まず)。
-
180 名前:元塾講師:2005/09/19 10:13
-
解説:x , y 独立2変数関数の最小値を文字固定法により、忠実に求めていく方針での解答
である。まずどちらを固定するかであるが、登場回数はどちらも同じなので、多い方を固定
したほうがシンプルに扱えるという法則は使えないが、xについてといたほうが式のまとま
りは明らかによいので、初めにyを固定(定数と見なす)して、(とりあえずxの関数の)
最小値を考えていきましょう。もっとも、図示するだけなので最後まで厳密に最小値を求め
る必要はありません。上の解答のmin{a , b}はa , bのうち大きくないほう(a , bの
小さいほうか、等しい場合はどちらか。)という意味です。
「~のときは、~が最小値で」また、「~のときは、~が最小値で」という場合分けをいく
つも並べるよりは、むしろ最小値の候補を絞り込み、そのいずれもが正であればよいという
(アバウトな)形で表現したほうが、図示も遥かに楽である。(この考えも大切!)
この「ある程度の候補までで止めておくという考え」をもっと押し進めると次のような別解
でもよいと考える。
-
181 名前:元塾講師:2005/09/19 10:21
-
別解: 1 - ax - by - axy = - (ax + b)(y +1) + 1+b ?
ここで-1≦y≦1のときy +1は0以上2以下の値をとって連続的に動き、
-1≦x≦1 のときax + bは- a + b から a + bまでの値で(独立に)連続的に動くので、
よってその積(ax + b)(y +1)の最大値は、0か2(- a + b)か2(a + b)のうち最大のものであり、
従って?の最小値は、これらのときの1 + b , 1 + 2a -b , 1 - 2a - b のうち最小のもの。
よって求める条件は、1 + b >0かつ 1 + 2a -b>0 かつ 1 - 2a - b>0 (答) 図は略。
-
182 名前:元塾講師:2005/09/19 10:25
-
別解の解説:
?の変形は自然としたくなる変形であるはず。変数(動くもの)をまとめていく変形である。そ
もそもこのAxy +Bx + Cy + D が、(ax +b )(cx + d)の展開として出現すること、逆に定数の
ずれを補正すれば前者が後者に因数分解できることは、整数論や、双曲線の式として図示するた
めでもよく使う変形でしょう。
さて、本別解でのポイントは結局今回の関数の最小値が(x , y) = (1 , 1) , (1, -1) ,
(-1 , 1) , (-1, -1) のいずれか(極端な4例)で実現できることを述べることと。
最小値>0 ⇔ (最小値を含め、すべての場合)>0
という考えである。
つまり最小値>0であるならば、「最小値より大きな値が0であるのは当然必要でなおかつ
最小値も>0である」としてやることで、必要十分条件を、細かい場合分けをせずに一気に
書けてしまうのである。この点は解答1においても同じ注意をもって、見ておいて下さい。
-
183 名前:元塾講師:2005/09/19 10:34
-
問29:
a , bは実数で、b≠0とする。xy平面に原点O ( 0 , 0)および2点P ( 1 , 0) , Q ( a , b )を
とる。
(1)△OPQが鋭角三角形となるためのa , bの条件を不等式で表し、点( a , b )の範囲
をab平面上に図示せよ。
(2)m , nを整数とする。a , bが(1)で求めた条件をみたすとき、
不等式 ( m + na)^2 - ( m + na) + n^2b^2 ≧0が成り立つことを示せ。
(1998 東大文系)
-
184 名前:元塾講師:2005/09/19 10:35
-
解答:
(1)
∠POQ <90°⇔ cos ∠POQ >0 ⇔ベクOP・ベクOQ>0⇔ a>0 ?
∠OPQ <90°⇔ cos ∠OPQ >0 ⇔ベクPO・ベクPQ>0⇔ a<1 ?
∠OQP <90°⇔ cos ∠OQP >0 ⇔ベクQO・ベクQP>0⇔ a^2 - a + b^2>0 ?
以上の3条件を満たす ( a , b )の範囲をab平面上に図示する。(図は略)
-
185 名前:元塾講師:2005/09/19 10:36
-
解答:
(2) (1)の条件の時、b^2>a - a^2 であり、またn^2≧0より、
( m + na)^2 - ( m + na) + n^2b^2 ≧( m + na)^2 - ( m + na) + n^2(a - a^2)
= (2mn - n + n2) a + ( m2 - m ) (※)
最後の式、これをa の関数と考え、f (a) とおく。但し定義域は(1)より0<a<1。
?) (2mn - n + n2)≧0 のとき、f (a) はa の(広義の)増加関数であり、
f (a)≧f (0) = m^2 - m≧0
〔∵一般にkが整数の時、k^2 - k = k (k - 1)は連続する2整数の積で正×正、負×負、
あるいは一方0、のいずれにせよ0以上となる〕
?) (2mn - n + n2)<0 のとき、f (a) はa の(狭義の)減少関数であり、
f (a)>f (1) = (m+ n)^2 - (m +n)≧0
-
186 名前:元塾講師:2005/09/19 10:38
-
以上の?)?)いずれにせよ、0<a<1のとき、f (a)≧0よって(※)より、
( m + na)^2 - ( m + na) + n^2b^2 ≧0 。
-
187 名前:元塾講師:2005/09/19 10:40
-
解説:
(1)
解答は2ベクトルi ,jのなす角θ<90°⇔cos θ = i ・ j /│i││j│>0⇔i ・ j>0
という言い換えを使っています。
O, Pが決められていてQの位置を条件に沿うように決めるだけなので、図で考えてもよい
でしょう。三角形のそれぞれの内角が90°になるような補助線、補助円を書けば、それら
を境にどちら側にあるべきかを簡単に論じればよいでしょう。