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みんなで難関大数学を攻略しよう!

0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!

では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)

解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2

本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
188 名前:元塾講師:2005/09/19 10:43
解説:
(2)
示すべき式をまずどのように整理していくかであるが、2b^2を消去して文字数を減らせるの
はよいでしょう。それでもm,n ,aの3文字が入った式である。m,n ,aはそれぞれ独立して
比較的自由に動けるので、どのように動いても0以上を示すとすれば、3変数関数として捉
える立場からは最小値を求めてそれが0以上を示すことになる。独立3変数関数と見る場合、
動くものは一つにして後はとりあえず固定して仮の最小値を求め、後で固定をはずしながら
最小of最小を求める方針となるが、まずどれを固定し
どの文字についての関数と見なすかについては、登場回数が多い文字は固定したほうがよ
いし、なるべく次数の低い文字について整理したほうが扱い易いことが多いので、これら
を参考に決める。本文の場合、m, nは整数という特殊な変数なので、これにつれの動きは
分かりにくい、これらは定数と見なし(固定して)、連続して動く(関数論として微分法
などで解析しやすい)aのみを変数とまずは見なすべきだろう。f (a)は一次式か定数な
ので、直線のグラフを形成することを考えれば、最小値はアバウトに言えば両端点の
小さいほう(大きくないほう)である。
尤も、その値はとれないので、実際に最小値という言葉は使えない。不等式評価として
答案を書きましょう。f (a) の下限を(m+ n)^2 - (m +n)として、この最小は一文字
について整理し、再び関数論として話を展開するまでもなく、因数分解をすれば式とし
ての0以上はすぐ示せる。
189 名前:元塾講師:2005/09/19 10:49
問30:   
3個の赤玉とn個の白玉を無作為に環状に並べるものとする。
このとき白玉が連続してk + 1 個以上並んだ箇所が現れない確率を求めよ。
ただし、n /3 ≦k <n /2とする。      (1989 東大)
190 名前:元塾講師:2005/09/19 10:51
解答: 環状に並べたものに、図のように1~n+3まで反時計周りに座席番号をつける。
どのような状況であれ、必要なら適当に回転して、1番目に赤玉を持っていくことが出来るの
で、このように決めて玉の配列状態を考えても差し支えない。
他の2つの赤玉の位置をa , b 番目(2≦a<b ≦n + 3 ) とおくと、( a , b )の位置の決め方
は(n+2)C2通りであり、この一通り一通りは同様に確からしい。このうち題意を満たすような
(a , b )のとり方が何通りあるか考える。
白玉は、2 ~ (a -1)番目まで、 (a + 1) ~(b - 1)番目まで、 (b + 1) ~ (n + 3)番目まで
配列しているので、条件は a - 2≦k かつ b - a - 1≦ k かつ n - b + 3 ≦k
   ⇔ a ≦k + 2 かつ n - k + 3≦ b ≦a + k + 1 (☆)
まず、これを満たすb が存在するにはn - 2k + 2 ≦ a ≦k + 2が必要で、このときaを固定すれば、それに対しbは(a + k + 1) - ( n - k + 3 ) + 1 = a + (2k - n - 1)通りとれる。
よって☆を満たす( a , b )の決め方は、ここでa を動かして考えると、
Σ〔a = (n - 2k + 2) ~ (k + 2)〕{a + (2k - n - 1)} = 1 + 2 + …… + (3k - n + 1) 
= 1/2 (3k - n + 1) (3k - n + 2)  。    よって求める確率は 
{1/2 (3k - n + 1) (3k - n + 2) }/ (n+2)C2 = (3k - n + 1) (3k - n + 2)/ (n + 2) ( n + 1) …(答)
191 名前:元塾講師:2005/09/19 10:53
解説:  確率の定義はA/Uである。ここで、Uはすべての場合の数、Aは求める場合の
場合の数である。したがって定義によれば、確率を求める問題は、場合の数を数える
問題に帰着される。但し、この定義の式でもっとも大事な点は、基準とする(分母の)
場合の数の一通り一通りが「同様に確からしい」ような基準を選ぶことである。その為
には適当に区別したり(一般には赤玉をR1,R2,R3 白玉をW1,W2などど区別すると
一通り一通りが厳密に同様に確からしい環境のもとで考えられる。但しあんまり区別し
すぎると計算がややこしくなり計算も煩雑化し、考えにくくなることもあり、慣れた人
ほど区別をしないで計算していくことになる。但し、一通り一通りが同様に確からしい
点に反してしまえば、当然0点になるのでいつもこの一通り一通りが
「同様に確からしい」か?には注意する必要がある)
さて、本解のように場合の数を考えていく場合、あとは数を数えるだけの問題になるが、
動くものが2つ(赤玉)なので、2つ一遍に動かしても訳けが分からなくなるので、題意
を満たすような動かし方について考える場合、まず一つ目を(座席番号の小さい方)
をa番目に固定し、2つ目がどこにあるべきか(何通り取れるか)を統計立てて考えてい
くことになる。
この点は独立2変数関数の扱いと同じである。これを図の上で説明してもいいし、
図で説明するのが、「たるい」のであれば、本解のように式を使って述べた方が説明し
やすいかもしれない。
192 名前:元塾講師:2005/09/19 10:58
コラム:(受験数学には不要の内容です。興味ない人は飛ばして下さい。)
ところで「同様に確からしい」の「らしい」とは何を意味しているか理解できているでしょうか?
日本語の「らしい」とは一般に伝聞、推定の意味があろうかと思いますが、ここでは勿論「推定」
です。例えばさいころを振って1の目が出る確率は、同程度におこると推定できる1の目が出る場合、
2の目が出る場合、……6の目が出る場合の6通りがあるうちの(すべての場合の数)、題意を満た
す場合の数は1通りあるということで定義により1/6 とするということになりますが、ここで、
分母たる6通りがホントに同確率に起こるかは分かりません。各人の脳構造の問題から、1がもっ
とも出やすいのではないかという直感、霊感をお持ちの者もいるでしょう。しかし、さいころを振
る操作を一万回、十万回行なえばなんとなく1の目が出る場合、2の目が出る場合、……6の目が出
る場合の6通りが同様に確からしいことが分かってくると思います。つまりこの「らしい」という
感覚は現実感覚から得られるものですので、もし、占い師のように(次に何の目が出るかについて)
現実離れをした感覚をお持ちの方は、この現実感覚を磨いてもらわなくてはなりません。
そもそも、数学は現実離れした学問です。これは、地球が右周りであろうと、左周りの状態であろ
うと成立するし、この世に人類が存在していなくても成り立つ法則、理論なのです。
例えば3平方の定理は人類が存在していなくても存在しているでしょう。(存在するには認識の
主体がいると考える場合には、存在しているとは言えない恐れもありますが…)。
あるいは1つの法則から(例えば地軸が60°位あったらとか、)出発して1つの新世界を作る
ことが出来るのも数学なのです。
そしてもし、ある1つの定義式、数式から、数学的論証を使って一つの世界を作った場合、その
もとの式はその世界の神=創始者ということになります。また、ある1つの定義式、数式から
現在の人類が受け入れている状況(地球がなぜ右回りに回っていたり、お互い偶然に生を享受し
た存在であり、楽しくやれたはずなのに、互いを低めあうような妙な競争意識が生じ、無生産的
な戦争するのはなぜか)を作り出せたとしたら、その式はこの世界の神になります。
数学はそのように演繹性をもちまた、普遍性があり、ピタゴラスが「万物の根源は数である」
といった程なのですが、確率・統計は明らかにそのような数学理念から離れたものです。
というのも確率は現実的数学であり、将来の出来事の平均的な発生可能性を予測する為の
応用数学(数学的手法の応用)ですので、常に現実感覚に沿うものでなければなりません。
したがってその出発点もあの世は知らないけれども、この世の「~らしい」という現実感覚
が必要なので、常に現実に迎合するように進めなければならない、数学らしくない分野とい
えるでしょう。
とはいえ現実問題、受験で絶対的に必要な知識は確率 = A/Uという定義だけです。
これをよく理解していれば、あとは場合の数を数えるだけの問題ですから結局注意力や、
式の扱いの問題で差がつくことになります。 単純な操作に帰着できるわけですから、
確率の問題は絶対に落とさないようにしましょう。
193 名前:元塾講師:2005/09/23 08:06
問31:
xy平面において、座標 ( x , y)が不等式x≧0 , y≧0 , xy≦1をみたすような点P ( x , y)の
作る集合をDとする。三点A ( a , 0) ,B ( 0 , b) ,C( c , 1/c)を頂点とし、Dに含まれる
三角形ABCはどのような場合に面積が最大となるか。また面積の最大値を求めよ。
ただしa≧0 , b≧0 , c>0とする。   (1986 東大)
194 名前:元塾講師:2005/09/23 08:09
解答1:  Cより引いた双曲線の接線とx軸 , y軸の交点Q , Rをとおくと、
△ ABCが双曲線に含まれる条件はAがOQ上にあり、BがOR上にあること。
Cを固定して考えるとA , Bは独立してこの範囲内で動ける。
ここで更に、Bを固定しAの位置のみを動かして考えていくが、
?)Bをb<cの位置に固定した時(BCの傾きが正になるように固定した時)、
  △ABCはA=Qのとき(BCを底辺と見るとこのとき高さが最大になる)最大で、
  次にBの固定をはずすとB = Oのとき△ABCの面積は最大になる。
    よって  △ABC≦△QBC≦△QOC
?)Bをb≧cを満たすようにとる時、同様に
  △ABC≦△OBC≦△ORC
195 名前:元塾講師:2005/09/23 08:10
ここでC( c , 1/c)とおくと接線はy = (-1/c^2) x + 2/c であるから、Q( 2c , 0) R( 0 , 2/c)
であり、△QOCと△ORCの面積は共に1で等しい。
よって求める△ABCの面積の最大値は1。これは△QOCか△ORCにおいて可能である。
(「a = 2c かつb = 0」 又は「a = 0 かつb = 2/c」のとき。)   (答)
196 名前:元塾講師:2005/09/23 08:11
解説:
予選決勝法(3変数関数)の解答であることを前面に押し出した答案にしてみました。
まず△ABCがDに含まれる条件は、Cにおける接線を補助線として引いて、考えるべきでしょう。
辺CAにおいてAがx軸無限の点にあるとすると、辺CAは双曲線と以外での共有点を
持つことは明らか。C以外に共有点を持たなくなる境目が接線であるのは図で考えれば
明らかでしょう。また、辺CBについても同様に考え、最後に△ABCが△OQRに含まれれば、
辺ABがD内になるのは自明。
あとはABCが△OQRに含まれるように動かして考えていくだけ。
(CがQRの中点になることも注意)といっても一気に動かしても訳がわからないので、固定
しながら1つずつ動かして、その固定をはずして……
というのを繰り返して、最大 of 最大を探し出す。

発展:CがCにおける双曲線の接線と漸近線の交点Q , Rの中点になること、
三角形OQRの面積が(Cの位置に依らず)一定であること等は双曲線の性質として有名。
逆にいえば、容器に水を入れて揺らした時の水面の包絡線が双曲線になる。
双曲線とはそんな性質を持つ曲線である。
197 名前:元塾講師:2005/09/23 08:11
これと関連して、双曲線上の点の(漸近線の2方向ベクトルを使った)パラメータ表示はご存知だろうか?
198 名前:元塾講師:2005/09/23 08:13
解答2:
Cより引いた双曲線の接線とx軸 , y軸の交点Q , Rをとおくと、
△ ABCが双曲線に含まれる条件はAがOQ上にあり、BがOR上にあること。
ここでC( c , 1/c)とおくと接線はy = (-1/c^2) x + 2/c であるから、Q( 2c , 0) R( 0 , 2/c)。
よって条件は 0 ≦a ≦2c , 0 ≦b ≦2/c …(※)
ベクトルAC = (a - c , -1/c ) , ベクトルBC = ( -c , b - 1/c)で形成される
△ABCの面積は1/2 │(a - c) (b - 1/c) - 1│
ここで(※)のとき、│a - c│≦c , │b - 1/c│≦2/c ∴│(a - c) (b - 1/c)│≦1
よって、△ABCの面積は (a - c) (b - 1/c) = -1 のとき (「a = 2c かつb = 0」 又は
「a = 0 かつb = 2/c」のとき。)、最大値1をとる。  (答)
199 名前:元塾講師:2005/09/23 08:15
>>198 訂正!下から3行目
│b - 1/c│≦2/c →│b - 1/c│≦1/c
200 名前:元塾講師:2005/09/23 08:16
解説:
求める図形量は容易に数式表現できるので、式上で議論してもよいであろう。
むしろこちらのほうが論じやすいし用意なことも多い。(逆も多いが)
私としては図形的考察が好きなので、まず図形的に考えるくせがあるが、どちらのアプローチを重視するかは好みの問題かも知れない。
ところで本問題集を通して、受験数学で諸君が身につけるべきポイントは
式処理と図形的考察である。この2つに尽きるのである。分野などを超えて、この2つの
テクニックを把握し、相互関係や組み合わせ方まで把握できれば、よい解答を自ら作れる
ようになってくるはずである。ご存知のように、今までは式処理中心に話を進めてきたが、
確率の問題を少し挟んだ後(確率は式処理の問題として考えている)、後半は図形的考察
を中心に進めたいなと思っています。
まずはそれぞれのテクニック、重要事項を把握たうえで、最後に全体を振り返って式処理
と図形的考察が行き来できるように復習をして欲しい。これが本問題集の目的の最大のも
のである。
201 名前:元塾講師:2005/09/23 08:25
分枝点に来たので、今までの31問(式処理、式での論証分野)を振り返って見ました。
すると何人かに指摘されているとおり、問1~3が意味不明な書きこみなっているのに気づきました。
ま、書きこみに慣れてないからであるのだが、良問かつ重要問題の扱いとしてはひどいもんだ
と思ったので、書きなおしておきます。
その他はとりあえず初版ということで大目に見て、汲み取って読んでください。
右辺と左辺の書き間違えが多いのは職業病です。(対個人のサービス業)
いずれは、いろいろな人の意見、良解答をとり入れて進化させる機会があればいいけど。
202 名前:元塾講師:2005/09/23 08:27
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!

では、 (再掲)
問1:すべての正の実数x , yに対し√x+√y≦k√(2x+y)
が成り立つような実数 kの最小値を求めよ。 (1995東大)
203 名前:元塾講師:2005/09/23 08:27
解答その1:
「 すべての正の実数x , yに対し、√x+√y ≦ k√(2x+y) 」
⇔「すべての正の実数x , yに対し(√x+√y) /√(2x+y) ≦k 」 ?
ここに√(2x)=r cosθ √y=r sinθ {x>0 , y>0のときr>0 , 0<θ<π/2 }
とおけば右辺=√(1/2)・cosθ + sinθ=√(3/2)・sin(θ+α)≦√(3/2)
ここでαはtanα=1/√2 , 0<α<π/2なる角。
θ+α=π/2のときこの等号は成立するので、(√x+√y)/√(2x+y)の x>0 , y>0
における最大値は√(3/2)であり  ? ⇔ √(3/2)≦k (答)√(3/2)

本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
204 名前:元塾講師:2005/09/23 08:28
解答その2: ?まで同じ
√(x/y) +1= uとおくと左辺 = u /√(2u^2 - 4u + 3) = 1 /√{3(1/u-2/3)^2+2/3}
ここでx , y が正の実数で動く時、uはu>1を満たして動くので0<1/u<1
この下で考えると上は1/u=2/3のとき最大値√(3/2)を取ることが分かる。
∴ ?⇔√(3/2)≦k  (答)√(3/2)
205 名前:元塾講師:2005/09/23 08:29
解答その3:
√x/y = tとおくと左辺の2乗= (t+1)^2 / (2t^2+1) = 1/2 + (2t + 1/2) / (2t^2+1)
=1/2 + u / {(1/2)u^2 - (1/2)u + 9/8 }=1/2 + 1/ {(1/2) u + 9/(8u) - 1/2}
但し、u = 2t + 1/2 とおいた。このとき相加平均≧相乗平均の関係から
(1/2) u + 9/(8u) ≧ 3/2 であるので 左辺の2乗≦3/2 (等号はu = 3/2⇔t = 1/2のとき)
よって左辺の最大値は √(3/2) であるから ?⇔√(3/2)≦k  (答)√(3/2)

本解答のポイントは1次式/2次式であれ2次式/1次式であれ必ず相加平均≧
相乗平均を使える形に持っていけることにある。つまり積=一定の形である。
206 名前:元塾講師:2005/09/23 08:29
解答その4:?まで同じ。
yを固定して考え、右辺をf (x)とおくと、f (x)の増減を調べることで
f(x)はx = y /4のとき最大になり最大値はf (y /4) = √(3/2)
∴ ?⇔√(3/2)≦k   (答)√(3/2)

いわゆる多変数関数を扱うえで文字固定をしながら扱うという考えである。
予選決勝法とも言われる。多変数関数を一気に扱うことは無理で、一文字以外を固定して
その後固定をはずすという形で考えるのが高校数学の重要手法である。
まだまだ別解はあるが問1はひとまずこの辺で。(各自別解を考えましょう)
207 名前:元塾講師:2005/09/23 08:30
数学を扱っていく上でまず基礎となるのが、数式の扱いです。
難関大では、自ら置き換えをしたり、パラメーターの設定を上手にとって、
量を、なるべくシンプルで美しい形に表現する試みが要求されます。
そこで、数式の扱いに慣れていただく意味で、数問ないし今後計10問以上、
数式処理というテーマで講義を行いたいと思います。

では、問2
実数a,b(0≦a<π/4 、0≦b<π/4)に対し、次の不等式の成り立つことを示せ。
√tan a√tan b≦tan(a/2+b/2)≦1/2(tan a+tan b)
   (1991京大)
208 名前:元塾講師:2005/09/23 08:33
解答その1:
0≦b≦a<π/4として一般性を失わない。ここでa/2 + b/2=θ , a/2 - b/2 =φ
とおき、更にtanθ= x , tanφ= y とおくと、
tan a = tan(θ+φ) = (x+y)/(1-xy) , tan b = tan(θ-φ) = (x-y) /(1+xy) (∵加法定理)
a , b の仮定条件より0<θ<π/4 , 0<φ<π/8なので0<y≦x<1 ? これを用いると
(最右辺)-(中辺)=1/2{(x+y)/(1-xy) + (x-y)/(1+xy)}- x = (x y^2 + x^3 y^2)/(1-x^2y^2) >0
(中辺)^2-(最左辺)^2=x^2 - (x+y)(x-y)/(1-xy)(1+xy) = y^2(1-x^4) /(1-x^2y^2) >0
これと中辺>0、最左辺>0を留意することで、問題の不等式の成立が証明された。
209 名前:元塾講師:2005/09/23 08:34
解答その1の注:
a , bが0≦b≦a<π/4 を満たして動く時のθ, φに関する必要十分条件
といえば 0≦θ-φ≦θ+φ<π/4 ということになろう。
しかし本問ではx , yの大まかな変域が分かれば必要性のみの議論は可能なので
あえて置き換えに付随するx , yの条件を(必要性にすぎない)? にとどめた。
これで十分証明可能なのである。
解説:
tan (a/2)、 tan (b/2) を単位として、式を分解・変形する発想も理解できるが
せっかくなら、(a+b) /2 を一まとまりとしたほうが少なくとも中辺は簡単である。
このとき(a-b) /2を引っ張ってくれば、a,bはこの2つの新しいパラメータ
で、表現でき、計算の進行に繋がる。(和⇔積の公式も参照)
対称性のある式の扱いとして和と差を持ってくるというバランス感覚 は大事である。
後々予定してるが?かつ?⇔?+? かつ ?-? という事実を良く理解しよう。
小6で習った和差算に通じるものが無 いだろうか?
210 名前:元塾講師:2005/09/23 08:35
解答その2:
f(x) = tan x {0≦x<π/4} とおくと、y=f (x) のグラフは下に凸であるから、
この上の2点( a , f (a) ) , ( b , f (b) )の中点( a/2 + b/2 , f (a)/2 + f (b)/2)は
y≧f(x)の領域にあり、f (a)/2 + f (b)/2 ≧ f ( a/2 + b/2 ) (グラフより)
∴tan(a/2 + b/2)≦1/2(tan a+tan b)
次にg(x) = log (tan x) {0≦x<π/4} とおけばg'(x) = 2 /sin2x
g''(x) = -4 cos2x / (sin2x)^2 <0 よってg(x)は0≦x<π/4の範囲で
上に凸であり、g(a/2 + b/2)≧g(a)/2 + g(b)/2
これを整理して √tan a √tan b ≦ tan(a/2 + b/2)
211 名前:元塾講師:2005/09/23 08:36
解説:
解答その2 は関数の凸性を利用した不等式評価で、受験数学の基本アイテムの
一つである。もちろん一般化でき、関数に、「平均をとってから入れた出力値」
と「入れてから平均をとった値」の間の評価は関数の凸性が利用できると思わなければ
ならない。 tan(a/2+b/2)と1/2(tan a+tan b)を良く見比べてこのことに気づかない人は
まだ基礎力が不足している。
後半もまず、√tan a√tan b≦tan(a/2+b/2)の両辺のlog をとって整理していけば、示すべきことは、ある関数にa , b をいれて平均をとったものと、平均をとってからある関数に入れたものの比較であることが分かるだろう。
これも同様にその関数のグラフをイメージし、凸性を利用すればよい。
212 名前:元塾講師:2005/09/23 08:37
問3: (訂正した上で再掲)
nを正の整数、aを実数とする。すべての整数mに対して
m^2-(a-1)m + a{n^2/(2n+1)} >0
が成り立つようなaの範囲をnを用いて表せ。(1997東大)
213 名前:元塾講師:2005/09/23 08:37
コメント:東大は、どうも文字を混ぜて変数か定数かをしっかり意識して扱わないと
意味不明になるような複雑な式が好きなようです。処理能力を見るにはいいのでしょうか。
214 名前:元塾講師:2005/09/23 08:39
解答:   与式⇔{n^2/(2n+1) - m}a + m2 + m > 0 ☆
ここで、n^2/(2n+1) = (n - 1/4) + 1/4(2n+1) はn の奇隅によらず、整数ではないので
{n^2/(2n+1) - m}≠0である。    よって☆を満たすa の範囲は、
「n^2/(2n+1)>m なる整数mに対しては a> (m^2 + m) /{m- n^2/(2n+1)}」 …?
「n^2/(2n+1)<m なる整数mに対しては a< (m^2 + m) /{m- n^2/(2n+1)}」 …? 
ここでmを整数としていろいろ動かして得られるa の範囲の重なりを求めれば良い。
ここに、f (x) = (x^2 + x) /{x - n^2/(2n+1)}  〔x ≠n^2/(2n+1)〕 とおくと
f'(x) = (x - n){x + n/(2n+1)}/(分母)^2 であるから、f (x)はx = - n /(2n+1) において
極大値をとり、 x = n において極小値をとる。また、f (x) →±∞ (x → n^2/(2n+1)±0)に
注意する。 (増減表は省略)
以上より、mをn^2/(2n+1)>m の範囲で動かすとき、f (m)が最大になるのはmが - n/(2n+1)
に近い整数である0 か -1においてであるから、? ⇔ a>f (0) かつa>f (-1) ⇔ a>0
また、mをn^2/(2n+1)<m の範囲で動かすとき、f (m) はm = n のとき、最小になり
〔∵n^2/(2n+1)<n〕  ? ⇔ a<f (n) = 2n+1
よって、mをすべての整数として動かす時に?、?が満たされる条件は0<a<(2n+1) (答)
215 名前:元塾講師:2005/09/23 08:40
問3解答の発想法:
すべてのmに対しf (m)>0 ⇔(f (m)の最小値)>0
で考えていきたいところであるが、f (m) を最小にする整数mは、実定数a
によって一般的に表示するのは難しく
「すべてのmに対して成立する ⇒ m=1,2,……の場合で成立する」ので実験することから
始めよう。(必要性で攻めるという数学手法である=抽象情報から、具体情報を抽出し
推理、推論、帰納的論証などにより一般化しなおす。)このような方針転換が出来れば
やることは見えてくる。 つまりm=1のときaの範囲が決まり、m=2のときaの範囲が決まり……
これらから求まるaの範囲の重なりを求めれば良いことになる。
こうして一般化してすべての整数mについて考えていこうとすれば、関数の変化を考えることになる。
216 名前:元塾講師:2005/09/23 08:42
では、確率の問題を数問selectしておきます。
皆様、よい休日を。
217 名前:元塾講師:2005/09/23 09:05
そういえば、3つ目の(受験数学用)有名不等式も忘れていた。
確率終わったら少し扱います。

>>198
ベクトルAC , ベクトルBC →
Cを頂点とする2つの辺ベクトル(こんな言葉はないと思うが…)
「ベクトルCA ,ベクトルCB」に訂正しておいてください。
218 名前:名無しさん:2005/09/23 09:37
>>元塾講師さん
ここで扱っている問題をなかなか自分で解く時間がないのですが、
先生の解答をじっくり読むだけでも多少は意味があるでしょうか?
219 名前:元塾講師:2005/09/23 10:05
>>218
意味があるどころか、先人の知恵を読んで理解することが勉強の出発点です。
初心者は(失礼ないい方になってしまいましたが、どの分野でも、どんな偉い人でも
はじめはみんなこう呼ばれます。)まず謙虚に先人の考え方を学ぶことが大切です。
その為には、解答の構造(段落分け)をしっかり把握して行きながら解答を読み込んで下さい。
どんな難問と思っていても、基礎事項2~3が入っているだけと気づくことでしょう。
あとはそれがやり切れる計算力も大事ですので、せめて自分で手を動かして追体験して下さい。
その後は、自分で解答が作れるようになっているかを確認すればその問題はクリアと考えてもらって
いいと思います。大事なのは、自分の答案を作れることであって、模範解答を
思い出すことではありません。同じ方針を採用するにしても、書く順番、説明の仕方は
自分に合ったものがあるはずです。そうして答案構成を自分で考えることが、
論理力や論証能力を鍛える上で大切で、受験数学はこれを身につける為の材料です。
220 名前:名無しさん:2005/09/26 12:53
>>219
お返事ありがとうございます。
しっかり身につけられるよう頑張ります!
221 名前:元塾講師:2005/09/28 11:04
問32:
正六角形の頂点に1から6までの番号を順につける。またn個のサイコロを振り、出た目を
番号とするすべての頂点にしるしをつけるものとする。このとき、しるしのついた三点
を頂点とする直角三角形が存在する確率Pnをとする。
(1)P3 , P4を求めよ。
(2)lim(n→∞){log(1 - Pn)}/nを求めよ。
    (1987 東大)
222 名前:元塾講師:2005/09/28 11:10
解答: n個のサイコロを振っても、直角三角形が作られないのは以下の場合である。
但し以下n≧3のときを考え、また4点以上にしるしがつくと、正六角形の外接円の直径の両端点
となる2点が含まれるので、それともう1点で必ず直角三角形が作れることに注意する。
?)1点のみにしるしがつく場合:
  n個のサイコロのすべての目の出方は6^n通りあり、例えばすべてに1の目が出
  る(1のみにしるしがつく)場合の数は1通りなので、確率は、1/6^n
  1点の決め方は6通りあるので、このような状況が生じる確率は6/6^n
?)2点のみにしるしがつく場合:
  例えば(1 , 2)の目ばかりが出る場合の数は2^n通りのうち1または2の目のみ
  が出る2通りを除いて、2^n - 2 通り。また、2点の決め方は6C2 = 15通りある 
  ので、この状況が生じる確率は15 × (2^n - 2)/6^n
223 名前:元塾講師:2005/09/28 11:11
?)3点のみにしるしがつく場合:
  例えば(1 , 2 , 3)のような3点のみにしるしがつく場合は、三角形は二等辺三角
  形となる。このような3点は他に(2 , 3 , 4)など全部で6通りある。
  また(1 , 3 , 5)のような3点のみにしるしがつく場合は、三角形は正三角形
  となる。このような3点は他に(2 , 4 , 6)があり、全部で2通りある。
  (それ以外の6C3 - 6 - 2 = 12通りの3点のしるしのつけ方の場合は、その3点
  を頂点とする直角三角形が作れる。)
  さて例えばn個のサイコロを振って( 1 , 2 , 3)の3点のみにしるしがつく場合の
数は3^n通りから、2点( 1 , 2)又は( 1 , 3)または( 2 , 3) の2つのみにしるし
がつく、3(2^n - 2)通りを除いて、1点1又は2又は3のみにしるしがつく3通りを
除いたものなので、3^n - 3・2^n + 3 通り。よって3点にしるしがついて、
直角三角形が出来ない確率は、8 × (3^n - 3・2^n + 3) / 6^n
224 名前:元塾講師:2005/09/28 11:12
以上より、直角三角形が出来ない確率は
1 - Pn = 6/6^n + 15 × (2^n - 2)/6^n + 8 × (3^n - 3・2^n + 3) / 6^n
= 8(1/2) ^n - 9(1/3) ^n
(1) 上式で n = 3 , n = 4 のときを考えてP3 = 1/3 , P4 = 11/18 (答)
(2) 1 - Pn = 8・(1/2) ^n・{1 - 9/8(2/3) ^n} であるから、
   {log(1 - Pn)}= log 8 - n log 2 + log {1 - 9/8(2/3) ^n}
 ∴{log(1 - Pn)}/n = log 8 /n - log 2 + (1/n)・log {1 - 9/8(2/3) ^n}→ - log 2 (答)                                                
                             (n→∞のとき)
225 名前:元塾講師:2005/09/28 11:18
解説: 
確率を定義に従って求めるなら、確率の問題は結局場合の数を求める問題になる。
この時大事なのが場合の数の数え方であるが、統計立てて「漏れなく、ダブりなく」
数えていくことが大事である。しらみつぶしに数えていくしかない場合もあるが、
場合分けをして、統計立てて分類していくのがまずは基本である。
この場合分けは、同じモノを2回数えたり、漏れがないように十分配慮すること。
解答の?)~?)の分類もダブりがない(重なりがない)ような分類である。
この分類の中でn個のサイコロを振って( 1 , 2 , 3)の3点のみにしるしがつく場合の数は
3^n通りでないことに注意。どのサイコロについても3通りの数字の取り方があるから、
すべての場合の数は3^n通りあるといても、これにはすべて1がでるとか、(1,2)の
二つの数字しか出ない場合もカウントしており、これを別にしないと?)?)との重なりが
出来てしまい、整理し切れなくなる。
はじめにしっかりとした分類を提示し、それに従っての正確な状況把握が必要になってくる。
226 名前:元塾講師:2005/09/28 11:20
尚,私は互いに背反かつすべてを尽くすような場合分けが要求される時、
基本的に?)~のとき、?)~でないとき という形で分類するよう心掛けている。
そして、「?)~でないとき」 が分かりやすく肯定形で表現できる時に「…のとき」
と言い換えている。このように十分「すべてを尽くしかつ互いに背反な場合分け」を
意識して場合分けを提示しないと、「漏れなくダブりなく」正確に数えられるように
はならない。(参考:1999 東大確率)
なお、Pnを求めるに当たって、本問は直角三角形が出来る場合のほうが遥かに起り易
そうで(nが十分大きければ)、分類もvarietyに富んでいる。逆の直角三角形
が出来ない場合のほうが、限定的で、分類も少なくすむので、こちらを考えて欲しい。
また、(1)を解くだけなら具体的なnで考えればよいし、直接考えてもよいが、
(2)を解く為には、一般にPn を求められなければ(Pn をnの式で表現できなければ)
ならないので、はじめから一般的に考えたほうがよい。このとき、(十分大きなnを想定
すれば、)さすがに直接求めるよりは余事象のほうが考えやすいことに気付くだろう。
227 名前:元塾講師:2005/09/28 11:25
検討:
漸化式を立てての解答を示しておきます。本問の場合、もともと帰納的定義があるわけでもないので、
これは自然な発想とは言い難い解答ですが、n個のサイコロでの情報とn + 1個のサイコロでの情報
の間に帰納的関連を見出すことは難しくないので漸化式は立ちます。もっとも{Pn}についての漸化式
を直接立てれるわけではないので、n個のサイコロを振ったときの状況としては、直角三角形が出来る
か出来ないかの分類だけでなくもっと細分化した状態を設定すること。
漸化式を解く訓練にはなるので、あえてこの検証(別解として本解と並べるほどの重要性はないですが)
をつけておきます。下記以外の漸化式の解き方もいろいろあるので好みの方法で各自トライして下さい。
228 名前:元塾講師:2005/09/28 11:27
検討 :
n個のサイコロを振って1点のみにしるしがつく確率をAn , 2点のみにしるしがつく確率をBn ,
3点のみにしるしがつく確率をCn, 4点以上にしるしがつく確率をDnとおくと、次の漸化式が立つ。
An+1 = (1/6) An …? ,  Bn+1 = (5/6)An + (1/3) Bn …? ,
Cn+1 = (2/3) Bn + (1/2) Cn …? , Dn+1 = Dn + (1/2) Cn …?
また、A1 = 1 , B1 = 0 , C1 = 0 , D1 = 0 である。このように帰納的に定まる数列の一般項
は次のように求められる。
229 名前:元塾講師:2005/09/28 11:28
? より数列{An}は公比1/6の等比数列で、An = (1/6)^(n - 1) ・A1 = (1/6)^(n - 1)
?の両辺に3^(n+1)をかけて整理すると、3^(n+1)・Bn+1 = 3^n・Bn + 15(1/2)^n
よって、3^n・Bn = 3・B1 + Σ{k = 1~(n-1)}15(1/2) ^k = 15{1- (1/2)^(n - 1)}
  ∴Bn = 15 (1/3)^n - 30 (1/6)^n (n≧2のとき)
?の両辺に2^(n+1) をかけて整理すると、
2^(n+1)・Cn+1 = 2^n・Cn + 20 (2/3)^n - 40 (1/3)^n
よって、2^n・Cn = 2・C1 +Σ{k = 1~(n-1)}〔20 (2/3)^k - 40 (1/3)^k〕
= 40{1- (2/3)^(n - 1)}- 20{1- (1/3)^(n - 1)} (n≧2のとき)
  ∴Cn = 20 (1/2)^n - 60 (1/3)^n + 60 (1/6)^n (n≧2)
230 名前:元塾講師:2005/09/28 11:29
題意を満たすのは、4点以上にしるしがつく場合と、3点以上にしるしがつく場合は
全6C3 = 20 通りのうち(この1通り1通りは同様に確からしい)、二等辺三角形や正三角形が
出来る8通りを除いた12通りが題意を満たすので、
Pn = Dn + (12/20) Cn = 1 - An - Bn - Cn + (12/20) Cn= 1 - An - Bn - (2/5) Cn
∴1 - Pn = An + Bn + (2/5) Cn
= 6 (1/6)^n +{15 (1/3)^n - 30 (1/6)^n }+{8 (1/2)^n - 24 (1/3)^n + 24 (1/6)^n}
= 8 (1/2)^n - 9 (1/3)^n (n≧2)       (以下本解と同じ)
231 名前:元塾講師:2005/09/28 11:30
検討の解説:
An+1 = p An + f (n) 型の漸化式の解き方の一方法として
両辺をp^(n+1)で割って、数列{An/ p^n}の階差数列が分かるので、階差数列を利用して、
数列{An/ p^n}の一般項を
An/ p^n = A1/ p + Σ{k = 1~ (n -1)}f (k)/ p^(k+1)  (n≧2)と表せる
ことから解いた。
232 名前:元塾講師:2005/10/02 02:25
問33:
サイコロを繰り返しn回振って、出た目の数を掛け合わせた積をXとする。すなわち、k回目
に出た目の数をYkとすると、X = Y1Y2…Yn
(1) Xが3で割り切れる確率Pnを求めよ。
(2) Xが6で割り切れる確率Qnを求めよ。       (1992 京大)
233 名前:元塾講師:2005/10/02 02:27
解答:
(1)余事象を考える。即ちXが3で割り切れない場合というのは、Y1 , Y2 ,… ,Yn の中に3
または6が一度も現れない時に限られるので、この確率は、(4/6)^n = (2/3)^n
よって求める確率は1 - (2/3)^n   (答)
234 名前:元塾講師:2005/10/02 02:31
(2) 余事象を考える。即ちXが6で割り切れない場合というのは、Y1 , Y2 ,… ,Yn の中に6 が
一度も現れないことが必要で更に
?)3が一度も現れないとき
?)3が一度以上現れるが、偶数が一度も現れないとき
のいずれかの場合である。
?)についてはサイコロの目が、1 , 2 , 4 , 5 しか出ないときで、確率は (4/6)^n = (2/3)^n
?)について3がk回(k≧1)出るとすると、その他 (n - k )回は1か5しか出ないときなので
  この確率はnCk ・(1/6)^k ・(2/6)^(n-k) = (1/3)^n・nCk ・(1/2)^k
  k = 1, 2 , …, n のときこの確率を加えて?)が起こる確率は、
 (1/3)^n Σ{k = 1~n}nCk ・(1/2)^k = (1/3)^n {(1 + 1/2)^n - 1} = (1/2)^n - (1/3)^n 〔∵二項定理〕
よってXが6で割り切れない確率は、(2/3)^n + (1/2)^n - (1/3)^n  。
Xが6で割り切れる確率は、1からこれを引いて、1 + (1/3)^n - (2/3)^n - (1/2)^n  (答)
235 名前:元塾講師:2005/10/02 02:33
解説:
余事象の方がcaseが限定されるので、考えやすい。余事象がどういう場合かを良く解釈した上で、
各場合の確率を求めていくだけの単純な問題。
?)について3がk回(k≧1)出るという形でまず限定(固定)しないと、確率は求まらないので
このようにまず固定した下で考え、その後に固定をはずしてkを変えるながら加えることで、
?)が生じる全状況を考える。このΣ計算において、Σ{k = 1~n}nCk 
又はΣ{k = 1~n}nCk・A^k は二項定理に関連づけられることは気付いて欲しい。
236 名前:元塾講師:2005/10/02 02:34
別解:(2)
ベン図を使って考える(図は略)。Xが2で割りきれる事象をA 、Xが3で割りきれる事象をB
とおく。また各事象が起こる確率をprobabilityの頭文字を用いて、
P(A) , P(B) などと書くと、求める確率はP(A∩B) = P(A) + P(B) - P(A∪B) (☆)
ここで、(1)より、P(B) = 1 - P(Bのバ-) = 1 - (2/3)^n これと同様に、
P(A) = 1 - P(Aのバ-) = 1 - (1/2)^n
P(A∪B) = 1 - P(A∪Bのバ-) = 1 - (Xが2でも3でも割りきれない確率) = 1 - (1/3)^n
よって (☆)に代入して、P(A∩B) = 1 + (1/3)^n - (2/3)^n - (1/2)^n  (答)
237 名前:元塾講師:2005/10/02 02:41
別解の解説:  6 = 2×3を考えると、(1)に関連づけて考えることができる。
倍数問題では、それを素因数に分解してより簡単な場合の結果を用いて考えるのは、よくやる
仕方である(参照問14(2))。包含関係はベン図を添えて、重なりや和が基礎的な場合に結び
つけてどう表現できるかを、いちいち考えること。公式として覚える必要はない。 



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