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みんなで難関大数学を攻略しよう!

0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!

では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)

解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2

本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
201 名前:元塾講師:2005/09/23 08:25
分枝点に来たので、今までの31問(式処理、式での論証分野)を振り返って見ました。
すると何人かに指摘されているとおり、問1~3が意味不明な書きこみなっているのに気づきました。
ま、書きこみに慣れてないからであるのだが、良問かつ重要問題の扱いとしてはひどいもんだ
と思ったので、書きなおしておきます。
その他はとりあえず初版ということで大目に見て、汲み取って読んでください。
右辺と左辺の書き間違えが多いのは職業病です。(対個人のサービス業)
いずれは、いろいろな人の意見、良解答をとり入れて進化させる機会があればいいけど。
202 名前:元塾講師:2005/09/23 08:27
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!

では、 (再掲)
問1:すべての正の実数x , yに対し√x+√y≦k√(2x+y)
が成り立つような実数 kの最小値を求めよ。 (1995東大)
203 名前:元塾講師:2005/09/23 08:27
解答その1:
「 すべての正の実数x , yに対し、√x+√y ≦ k√(2x+y) 」
⇔「すべての正の実数x , yに対し(√x+√y) /√(2x+y) ≦k 」 ?
ここに√(2x)=r cosθ √y=r sinθ {x>0 , y>0のときr>0 , 0<θ<π/2 }
とおけば右辺=√(1/2)・cosθ + sinθ=√(3/2)・sin(θ+α)≦√(3/2)
ここでαはtanα=1/√2 , 0<α<π/2なる角。
θ+α=π/2のときこの等号は成立するので、(√x+√y)/√(2x+y)の x>0 , y>0
における最大値は√(3/2)であり  ? ⇔ √(3/2)≦k (答)√(3/2)

本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
204 名前:元塾講師:2005/09/23 08:28
解答その2: ?まで同じ
√(x/y) +1= uとおくと左辺 = u /√(2u^2 - 4u + 3) = 1 /√{3(1/u-2/3)^2+2/3}
ここでx , y が正の実数で動く時、uはu>1を満たして動くので0<1/u<1
この下で考えると上は1/u=2/3のとき最大値√(3/2)を取ることが分かる。
∴ ?⇔√(3/2)≦k  (答)√(3/2)
205 名前:元塾講師:2005/09/23 08:29
解答その3:
√x/y = tとおくと左辺の2乗= (t+1)^2 / (2t^2+1) = 1/2 + (2t + 1/2) / (2t^2+1)
=1/2 + u / {(1/2)u^2 - (1/2)u + 9/8 }=1/2 + 1/ {(1/2) u + 9/(8u) - 1/2}
但し、u = 2t + 1/2 とおいた。このとき相加平均≧相乗平均の関係から
(1/2) u + 9/(8u) ≧ 3/2 であるので 左辺の2乗≦3/2 (等号はu = 3/2⇔t = 1/2のとき)
よって左辺の最大値は √(3/2) であるから ?⇔√(3/2)≦k  (答)√(3/2)

本解答のポイントは1次式/2次式であれ2次式/1次式であれ必ず相加平均≧
相乗平均を使える形に持っていけることにある。つまり積=一定の形である。
206 名前:元塾講師:2005/09/23 08:29
解答その4:?まで同じ。
yを固定して考え、右辺をf (x)とおくと、f (x)の増減を調べることで
f(x)はx = y /4のとき最大になり最大値はf (y /4) = √(3/2)
∴ ?⇔√(3/2)≦k   (答)√(3/2)

いわゆる多変数関数を扱うえで文字固定をしながら扱うという考えである。
予選決勝法とも言われる。多変数関数を一気に扱うことは無理で、一文字以外を固定して
その後固定をはずすという形で考えるのが高校数学の重要手法である。
まだまだ別解はあるが問1はひとまずこの辺で。(各自別解を考えましょう)
207 名前:元塾講師:2005/09/23 08:30
数学を扱っていく上でまず基礎となるのが、数式の扱いです。
難関大では、自ら置き換えをしたり、パラメーターの設定を上手にとって、
量を、なるべくシンプルで美しい形に表現する試みが要求されます。
そこで、数式の扱いに慣れていただく意味で、数問ないし今後計10問以上、
数式処理というテーマで講義を行いたいと思います。

では、問2
実数a,b(0≦a<π/4 、0≦b<π/4)に対し、次の不等式の成り立つことを示せ。
√tan a√tan b≦tan(a/2+b/2)≦1/2(tan a+tan b)
   (1991京大)
208 名前:元塾講師:2005/09/23 08:33
解答その1:
0≦b≦a<π/4として一般性を失わない。ここでa/2 + b/2=θ , a/2 - b/2 =φ
とおき、更にtanθ= x , tanφ= y とおくと、
tan a = tan(θ+φ) = (x+y)/(1-xy) , tan b = tan(θ-φ) = (x-y) /(1+xy) (∵加法定理)
a , b の仮定条件より0<θ<π/4 , 0<φ<π/8なので0<y≦x<1 ? これを用いると
(最右辺)-(中辺)=1/2{(x+y)/(1-xy) + (x-y)/(1+xy)}- x = (x y^2 + x^3 y^2)/(1-x^2y^2) >0
(中辺)^2-(最左辺)^2=x^2 - (x+y)(x-y)/(1-xy)(1+xy) = y^2(1-x^4) /(1-x^2y^2) >0
これと中辺>0、最左辺>0を留意することで、問題の不等式の成立が証明された。
209 名前:元塾講師:2005/09/23 08:34
解答その1の注:
a , bが0≦b≦a<π/4 を満たして動く時のθ, φに関する必要十分条件
といえば 0≦θ-φ≦θ+φ<π/4 ということになろう。
しかし本問ではx , yの大まかな変域が分かれば必要性のみの議論は可能なので
あえて置き換えに付随するx , yの条件を(必要性にすぎない)? にとどめた。
これで十分証明可能なのである。
解説:
tan (a/2)、 tan (b/2) を単位として、式を分解・変形する発想も理解できるが
せっかくなら、(a+b) /2 を一まとまりとしたほうが少なくとも中辺は簡単である。
このとき(a-b) /2を引っ張ってくれば、a,bはこの2つの新しいパラメータ
で、表現でき、計算の進行に繋がる。(和⇔積の公式も参照)
対称性のある式の扱いとして和と差を持ってくるというバランス感覚 は大事である。
後々予定してるが?かつ?⇔?+? かつ ?-? という事実を良く理解しよう。
小6で習った和差算に通じるものが無 いだろうか?
210 名前:元塾講師:2005/09/23 08:35
解答その2:
f(x) = tan x {0≦x<π/4} とおくと、y=f (x) のグラフは下に凸であるから、
この上の2点( a , f (a) ) , ( b , f (b) )の中点( a/2 + b/2 , f (a)/2 + f (b)/2)は
y≧f(x)の領域にあり、f (a)/2 + f (b)/2 ≧ f ( a/2 + b/2 ) (グラフより)
∴tan(a/2 + b/2)≦1/2(tan a+tan b)
次にg(x) = log (tan x) {0≦x<π/4} とおけばg'(x) = 2 /sin2x
g''(x) = -4 cos2x / (sin2x)^2 <0 よってg(x)は0≦x<π/4の範囲で
上に凸であり、g(a/2 + b/2)≧g(a)/2 + g(b)/2
これを整理して √tan a √tan b ≦ tan(a/2 + b/2)
211 名前:元塾講師:2005/09/23 08:36
解説:
解答その2 は関数の凸性を利用した不等式評価で、受験数学の基本アイテムの
一つである。もちろん一般化でき、関数に、「平均をとってから入れた出力値」
と「入れてから平均をとった値」の間の評価は関数の凸性が利用できると思わなければ
ならない。 tan(a/2+b/2)と1/2(tan a+tan b)を良く見比べてこのことに気づかない人は
まだ基礎力が不足している。
後半もまず、√tan a√tan b≦tan(a/2+b/2)の両辺のlog をとって整理していけば、示すべきことは、ある関数にa , b をいれて平均をとったものと、平均をとってからある関数に入れたものの比較であることが分かるだろう。
これも同様にその関数のグラフをイメージし、凸性を利用すればよい。
212 名前:元塾講師:2005/09/23 08:37
問3: (訂正した上で再掲)
nを正の整数、aを実数とする。すべての整数mに対して
m^2-(a-1)m + a{n^2/(2n+1)} >0
が成り立つようなaの範囲をnを用いて表せ。(1997東大)
213 名前:元塾講師:2005/09/23 08:37
コメント:東大は、どうも文字を混ぜて変数か定数かをしっかり意識して扱わないと
意味不明になるような複雑な式が好きなようです。処理能力を見るにはいいのでしょうか。
214 名前:元塾講師:2005/09/23 08:39
解答:   与式⇔{n^2/(2n+1) - m}a + m2 + m > 0 ☆
ここで、n^2/(2n+1) = (n - 1/4) + 1/4(2n+1) はn の奇隅によらず、整数ではないので
{n^2/(2n+1) - m}≠0である。    よって☆を満たすa の範囲は、
「n^2/(2n+1)>m なる整数mに対しては a> (m^2 + m) /{m- n^2/(2n+1)}」 …?
「n^2/(2n+1)<m なる整数mに対しては a< (m^2 + m) /{m- n^2/(2n+1)}」 …? 
ここでmを整数としていろいろ動かして得られるa の範囲の重なりを求めれば良い。
ここに、f (x) = (x^2 + x) /{x - n^2/(2n+1)}  〔x ≠n^2/(2n+1)〕 とおくと
f'(x) = (x - n){x + n/(2n+1)}/(分母)^2 であるから、f (x)はx = - n /(2n+1) において
極大値をとり、 x = n において極小値をとる。また、f (x) →±∞ (x → n^2/(2n+1)±0)に
注意する。 (増減表は省略)
以上より、mをn^2/(2n+1)>m の範囲で動かすとき、f (m)が最大になるのはmが - n/(2n+1)
に近い整数である0 か -1においてであるから、? ⇔ a>f (0) かつa>f (-1) ⇔ a>0
また、mをn^2/(2n+1)<m の範囲で動かすとき、f (m) はm = n のとき、最小になり
〔∵n^2/(2n+1)<n〕  ? ⇔ a<f (n) = 2n+1
よって、mをすべての整数として動かす時に?、?が満たされる条件は0<a<(2n+1) (答)
215 名前:元塾講師:2005/09/23 08:40
問3解答の発想法:
すべてのmに対しf (m)>0 ⇔(f (m)の最小値)>0
で考えていきたいところであるが、f (m) を最小にする整数mは、実定数a
によって一般的に表示するのは難しく
「すべてのmに対して成立する ⇒ m=1,2,……の場合で成立する」ので実験することから
始めよう。(必要性で攻めるという数学手法である=抽象情報から、具体情報を抽出し
推理、推論、帰納的論証などにより一般化しなおす。)このような方針転換が出来れば
やることは見えてくる。 つまりm=1のときaの範囲が決まり、m=2のときaの範囲が決まり……
これらから求まるaの範囲の重なりを求めれば良いことになる。
こうして一般化してすべての整数mについて考えていこうとすれば、関数の変化を考えることになる。
216 名前:元塾講師:2005/09/23 08:42
では、確率の問題を数問selectしておきます。
皆様、よい休日を。
217 名前:元塾講師:2005/09/23 09:05
そういえば、3つ目の(受験数学用)有名不等式も忘れていた。
確率終わったら少し扱います。

>>198
ベクトルAC , ベクトルBC →
Cを頂点とする2つの辺ベクトル(こんな言葉はないと思うが…)
「ベクトルCA ,ベクトルCB」に訂正しておいてください。
218 名前:名無しさん:2005/09/23 09:37
>>元塾講師さん
ここで扱っている問題をなかなか自分で解く時間がないのですが、
先生の解答をじっくり読むだけでも多少は意味があるでしょうか?
219 名前:元塾講師:2005/09/23 10:05
>>218
意味があるどころか、先人の知恵を読んで理解することが勉強の出発点です。
初心者は(失礼ないい方になってしまいましたが、どの分野でも、どんな偉い人でも
はじめはみんなこう呼ばれます。)まず謙虚に先人の考え方を学ぶことが大切です。
その為には、解答の構造(段落分け)をしっかり把握して行きながら解答を読み込んで下さい。
どんな難問と思っていても、基礎事項2~3が入っているだけと気づくことでしょう。
あとはそれがやり切れる計算力も大事ですので、せめて自分で手を動かして追体験して下さい。
その後は、自分で解答が作れるようになっているかを確認すればその問題はクリアと考えてもらって
いいと思います。大事なのは、自分の答案を作れることであって、模範解答を
思い出すことではありません。同じ方針を採用するにしても、書く順番、説明の仕方は
自分に合ったものがあるはずです。そうして答案構成を自分で考えることが、
論理力や論証能力を鍛える上で大切で、受験数学はこれを身につける為の材料です。
220 名前:名無しさん:2005/09/26 12:53
>>219
お返事ありがとうございます。
しっかり身につけられるよう頑張ります!
221 名前:元塾講師:2005/09/28 11:04
問32:
正六角形の頂点に1から6までの番号を順につける。またn個のサイコロを振り、出た目を
番号とするすべての頂点にしるしをつけるものとする。このとき、しるしのついた三点
を頂点とする直角三角形が存在する確率Pnをとする。
(1)P3 , P4を求めよ。
(2)lim(n→∞){log(1 - Pn)}/nを求めよ。
    (1987 東大)
222 名前:元塾講師:2005/09/28 11:10
解答: n個のサイコロを振っても、直角三角形が作られないのは以下の場合である。
但し以下n≧3のときを考え、また4点以上にしるしがつくと、正六角形の外接円の直径の両端点
となる2点が含まれるので、それともう1点で必ず直角三角形が作れることに注意する。
?)1点のみにしるしがつく場合:
  n個のサイコロのすべての目の出方は6^n通りあり、例えばすべてに1の目が出
  る(1のみにしるしがつく)場合の数は1通りなので、確率は、1/6^n
  1点の決め方は6通りあるので、このような状況が生じる確率は6/6^n
?)2点のみにしるしがつく場合:
  例えば(1 , 2)の目ばかりが出る場合の数は2^n通りのうち1または2の目のみ
  が出る2通りを除いて、2^n - 2 通り。また、2点の決め方は6C2 = 15通りある 
  ので、この状況が生じる確率は15 × (2^n - 2)/6^n
223 名前:元塾講師:2005/09/28 11:11
?)3点のみにしるしがつく場合:
  例えば(1 , 2 , 3)のような3点のみにしるしがつく場合は、三角形は二等辺三角
  形となる。このような3点は他に(2 , 3 , 4)など全部で6通りある。
  また(1 , 3 , 5)のような3点のみにしるしがつく場合は、三角形は正三角形
  となる。このような3点は他に(2 , 4 , 6)があり、全部で2通りある。
  (それ以外の6C3 - 6 - 2 = 12通りの3点のしるしのつけ方の場合は、その3点
  を頂点とする直角三角形が作れる。)
  さて例えばn個のサイコロを振って( 1 , 2 , 3)の3点のみにしるしがつく場合の
数は3^n通りから、2点( 1 , 2)又は( 1 , 3)または( 2 , 3) の2つのみにしるし
がつく、3(2^n - 2)通りを除いて、1点1又は2又は3のみにしるしがつく3通りを
除いたものなので、3^n - 3・2^n + 3 通り。よって3点にしるしがついて、
直角三角形が出来ない確率は、8 × (3^n - 3・2^n + 3) / 6^n
224 名前:元塾講師:2005/09/28 11:12
以上より、直角三角形が出来ない確率は
1 - Pn = 6/6^n + 15 × (2^n - 2)/6^n + 8 × (3^n - 3・2^n + 3) / 6^n
= 8(1/2) ^n - 9(1/3) ^n
(1) 上式で n = 3 , n = 4 のときを考えてP3 = 1/3 , P4 = 11/18 (答)
(2) 1 - Pn = 8・(1/2) ^n・{1 - 9/8(2/3) ^n} であるから、
   {log(1 - Pn)}= log 8 - n log 2 + log {1 - 9/8(2/3) ^n}
 ∴{log(1 - Pn)}/n = log 8 /n - log 2 + (1/n)・log {1 - 9/8(2/3) ^n}→ - log 2 (答)                                                
                             (n→∞のとき)
225 名前:元塾講師:2005/09/28 11:18
解説: 
確率を定義に従って求めるなら、確率の問題は結局場合の数を求める問題になる。
この時大事なのが場合の数の数え方であるが、統計立てて「漏れなく、ダブりなく」
数えていくことが大事である。しらみつぶしに数えていくしかない場合もあるが、
場合分けをして、統計立てて分類していくのがまずは基本である。
この場合分けは、同じモノを2回数えたり、漏れがないように十分配慮すること。
解答の?)~?)の分類もダブりがない(重なりがない)ような分類である。
この分類の中でn個のサイコロを振って( 1 , 2 , 3)の3点のみにしるしがつく場合の数は
3^n通りでないことに注意。どのサイコロについても3通りの数字の取り方があるから、
すべての場合の数は3^n通りあるといても、これにはすべて1がでるとか、(1,2)の
二つの数字しか出ない場合もカウントしており、これを別にしないと?)?)との重なりが
出来てしまい、整理し切れなくなる。
はじめにしっかりとした分類を提示し、それに従っての正確な状況把握が必要になってくる。
226 名前:元塾講師:2005/09/28 11:20
尚,私は互いに背反かつすべてを尽くすような場合分けが要求される時、
基本的に?)~のとき、?)~でないとき という形で分類するよう心掛けている。
そして、「?)~でないとき」 が分かりやすく肯定形で表現できる時に「…のとき」
と言い換えている。このように十分「すべてを尽くしかつ互いに背反な場合分け」を
意識して場合分けを提示しないと、「漏れなくダブりなく」正確に数えられるように
はならない。(参考:1999 東大確率)
なお、Pnを求めるに当たって、本問は直角三角形が出来る場合のほうが遥かに起り易
そうで(nが十分大きければ)、分類もvarietyに富んでいる。逆の直角三角形
が出来ない場合のほうが、限定的で、分類も少なくすむので、こちらを考えて欲しい。
また、(1)を解くだけなら具体的なnで考えればよいし、直接考えてもよいが、
(2)を解く為には、一般にPn を求められなければ(Pn をnの式で表現できなければ)
ならないので、はじめから一般的に考えたほうがよい。このとき、(十分大きなnを想定
すれば、)さすがに直接求めるよりは余事象のほうが考えやすいことに気付くだろう。
227 名前:元塾講師:2005/09/28 11:25
検討:
漸化式を立てての解答を示しておきます。本問の場合、もともと帰納的定義があるわけでもないので、
これは自然な発想とは言い難い解答ですが、n個のサイコロでの情報とn + 1個のサイコロでの情報
の間に帰納的関連を見出すことは難しくないので漸化式は立ちます。もっとも{Pn}についての漸化式
を直接立てれるわけではないので、n個のサイコロを振ったときの状況としては、直角三角形が出来る
か出来ないかの分類だけでなくもっと細分化した状態を設定すること。
漸化式を解く訓練にはなるので、あえてこの検証(別解として本解と並べるほどの重要性はないですが)
をつけておきます。下記以外の漸化式の解き方もいろいろあるので好みの方法で各自トライして下さい。
228 名前:元塾講師:2005/09/28 11:27
検討 :
n個のサイコロを振って1点のみにしるしがつく確率をAn , 2点のみにしるしがつく確率をBn ,
3点のみにしるしがつく確率をCn, 4点以上にしるしがつく確率をDnとおくと、次の漸化式が立つ。
An+1 = (1/6) An …? ,  Bn+1 = (5/6)An + (1/3) Bn …? ,
Cn+1 = (2/3) Bn + (1/2) Cn …? , Dn+1 = Dn + (1/2) Cn …?
また、A1 = 1 , B1 = 0 , C1 = 0 , D1 = 0 である。このように帰納的に定まる数列の一般項
は次のように求められる。
229 名前:元塾講師:2005/09/28 11:28
? より数列{An}は公比1/6の等比数列で、An = (1/6)^(n - 1) ・A1 = (1/6)^(n - 1)
?の両辺に3^(n+1)をかけて整理すると、3^(n+1)・Bn+1 = 3^n・Bn + 15(1/2)^n
よって、3^n・Bn = 3・B1 + Σ{k = 1~(n-1)}15(1/2) ^k = 15{1- (1/2)^(n - 1)}
  ∴Bn = 15 (1/3)^n - 30 (1/6)^n (n≧2のとき)
?の両辺に2^(n+1) をかけて整理すると、
2^(n+1)・Cn+1 = 2^n・Cn + 20 (2/3)^n - 40 (1/3)^n
よって、2^n・Cn = 2・C1 +Σ{k = 1~(n-1)}〔20 (2/3)^k - 40 (1/3)^k〕
= 40{1- (2/3)^(n - 1)}- 20{1- (1/3)^(n - 1)} (n≧2のとき)
  ∴Cn = 20 (1/2)^n - 60 (1/3)^n + 60 (1/6)^n (n≧2)
230 名前:元塾講師:2005/09/28 11:29
題意を満たすのは、4点以上にしるしがつく場合と、3点以上にしるしがつく場合は
全6C3 = 20 通りのうち(この1通り1通りは同様に確からしい)、二等辺三角形や正三角形が
出来る8通りを除いた12通りが題意を満たすので、
Pn = Dn + (12/20) Cn = 1 - An - Bn - Cn + (12/20) Cn= 1 - An - Bn - (2/5) Cn
∴1 - Pn = An + Bn + (2/5) Cn
= 6 (1/6)^n +{15 (1/3)^n - 30 (1/6)^n }+{8 (1/2)^n - 24 (1/3)^n + 24 (1/6)^n}
= 8 (1/2)^n - 9 (1/3)^n (n≧2)       (以下本解と同じ)
231 名前:元塾講師:2005/09/28 11:30
検討の解説:
An+1 = p An + f (n) 型の漸化式の解き方の一方法として
両辺をp^(n+1)で割って、数列{An/ p^n}の階差数列が分かるので、階差数列を利用して、
数列{An/ p^n}の一般項を
An/ p^n = A1/ p + Σ{k = 1~ (n -1)}f (k)/ p^(k+1)  (n≧2)と表せる
ことから解いた。
232 名前:元塾講師:2005/10/02 02:25
問33:
サイコロを繰り返しn回振って、出た目の数を掛け合わせた積をXとする。すなわち、k回目
に出た目の数をYkとすると、X = Y1Y2…Yn
(1) Xが3で割り切れる確率Pnを求めよ。
(2) Xが6で割り切れる確率Qnを求めよ。       (1992 京大)
233 名前:元塾講師:2005/10/02 02:27
解答:
(1)余事象を考える。即ちXが3で割り切れない場合というのは、Y1 , Y2 ,… ,Yn の中に3
または6が一度も現れない時に限られるので、この確率は、(4/6)^n = (2/3)^n
よって求める確率は1 - (2/3)^n   (答)
234 名前:元塾講師:2005/10/02 02:31
(2) 余事象を考える。即ちXが6で割り切れない場合というのは、Y1 , Y2 ,… ,Yn の中に6 が
一度も現れないことが必要で更に
?)3が一度も現れないとき
?)3が一度以上現れるが、偶数が一度も現れないとき
のいずれかの場合である。
?)についてはサイコロの目が、1 , 2 , 4 , 5 しか出ないときで、確率は (4/6)^n = (2/3)^n
?)について3がk回(k≧1)出るとすると、その他 (n - k )回は1か5しか出ないときなので
  この確率はnCk ・(1/6)^k ・(2/6)^(n-k) = (1/3)^n・nCk ・(1/2)^k
  k = 1, 2 , …, n のときこの確率を加えて?)が起こる確率は、
 (1/3)^n Σ{k = 1~n}nCk ・(1/2)^k = (1/3)^n {(1 + 1/2)^n - 1} = (1/2)^n - (1/3)^n 〔∵二項定理〕
よってXが6で割り切れない確率は、(2/3)^n + (1/2)^n - (1/3)^n  。
Xが6で割り切れる確率は、1からこれを引いて、1 + (1/3)^n - (2/3)^n - (1/2)^n  (答)
235 名前:元塾講師:2005/10/02 02:33
解説:
余事象の方がcaseが限定されるので、考えやすい。余事象がどういう場合かを良く解釈した上で、
各場合の確率を求めていくだけの単純な問題。
?)について3がk回(k≧1)出るという形でまず限定(固定)しないと、確率は求まらないので
このようにまず固定した下で考え、その後に固定をはずしてkを変えるながら加えることで、
?)が生じる全状況を考える。このΣ計算において、Σ{k = 1~n}nCk 
又はΣ{k = 1~n}nCk・A^k は二項定理に関連づけられることは気付いて欲しい。
236 名前:元塾講師:2005/10/02 02:34
別解:(2)
ベン図を使って考える(図は略)。Xが2で割りきれる事象をA 、Xが3で割りきれる事象をB
とおく。また各事象が起こる確率をprobabilityの頭文字を用いて、
P(A) , P(B) などと書くと、求める確率はP(A∩B) = P(A) + P(B) - P(A∪B) (☆)
ここで、(1)より、P(B) = 1 - P(Bのバ-) = 1 - (2/3)^n これと同様に、
P(A) = 1 - P(Aのバ-) = 1 - (1/2)^n
P(A∪B) = 1 - P(A∪Bのバ-) = 1 - (Xが2でも3でも割りきれない確率) = 1 - (1/3)^n
よって (☆)に代入して、P(A∩B) = 1 + (1/3)^n - (2/3)^n - (1/2)^n  (答)
237 名前:元塾講師:2005/10/02 02:41
別解の解説:  6 = 2×3を考えると、(1)に関連づけて考えることができる。
倍数問題では、それを素因数に分解してより簡単な場合の結果を用いて考えるのは、よくやる
仕方である(参照問14(2))。包含関係はベン図を添えて、重なりや和が基礎的な場合に結び
つけてどう表現できるかを、いちいち考えること。公式として覚える必要はない。 
238 名前:名無しさん:2005/10/02 10:56
高2にピッタリな問題下さい。
239 名前:元塾講師:2005/10/02 14:51
>>238 コラム:
いまでも、じっくり読めば力になると思います。どうしても無理ならまずはチャート式等をやって
来年取り組んで下さい。
ただ、この問題集は何も、解けることが大切なのではありません、問題や解答、解説に取り組むこ
とで高校数学を理解してもらおうという主旨なのです。学年は関係ありません、やる気が有るか
だけの問題と思います。必要なら、適当な公式集を片手に読み解いて見てください。
私の場合は、中2~中3のはじめには東大、京大の過去問を解き始めていたと思います。
(中3の終わり頃にはほぼ満点狙えるくらいにまでなっていました。)いくつかの問題集の合間に
であったと思いますが。
何も早ければいいものではありませんが、実践で公式の組み合わせを学んでいくのが結局一番、
公式や法則に関する、深い理解が得られると(実践に取り組む前に最低限の基礎知識、計算法則
のマスターは必要ですが。)思います。
ただ、勿論解答が理解出来なければ、慌てず演習してから取り組みましょう。それぞれのペース、
得手不得手があっていいと思います。早ければいいということはありませんし。
誤解して理解するくらいなら、今は知らない方がましなのです。
受験数学(高校数学といった方がいいでしょうか)といっても何も他人との競争と考える必要は
ありません。学ぶべき事項をマスターできれば、解けるような問題がほとんどだと思います。
従って積み上げて少しずつ理解できる内容を増やしていこうという勉強方法は要領が悪いだけだ
と思っています。最終目的はそんな複雑に隠されたもの、幾多のステップを踏んで攻略しなけれ
ばいけないというものではなく、むしろ自然な考え方、公式・法則の使い方なのですから、
最低限の(解答を場合によっては参考書を片手に、何とか読めるだけの)知識があれば早くから
なじんだ方がいいと思っています。必要ならその後に改めて、自分の足らないところを意識して、
易しい問題集で補強しなおせば良いでしょう。一方向的な学習にこだわる必要はありません。
こっちいったりあっち行ったり、迷いながら、問題意識をはっきりさせていくのです。

私は独学でいろいろ考え、悩みながら、解答を自分なりに解釈、読み解きこれを学んだと
思います。(こうして自分なりに理解できた気になったのは楽しいものでしたが、)
しかし諸君にはその手間がなるべく少しで済むようにしてあげたいと思っています。勿論、
自分であれこれと考えることは何よりも大切で、あとで自分なりの別解で頭を鍛えていく、
独自の数学を確立していくことはやはり大切です。何度もいうように、数学は正しければ、
どんな方法であれ正解に至ります。
もし、正解に至らなかったら、自分の考えに間違いがあるのでそれを修正していかなくは
なりません。そういった繰り返し、失敗体験、が正しいとはなにか、数学的に自然な考え
とは何かを身につけさせてくれるのです。
高校数学に高度の知識や、高度のテクニックは必要ありません。素直に数学的に正しく考
えられるか?これが聞かれるだけです。あとは計算の問題もありますが…。
早くからその最終目標に触れておいて損は無いし、早ければ早いほど、慣れるのも早いの
ではないかと考えます。がんばってみて下さい。

最後に。もっといえば、高校数学は何も目的ではありません、こんなのは早く要領よく
身につけて欲しいと思います。しかし何でも真剣に取り組めばそれなりの哲学や実感、
充実感が得られるし、楽しく頭を鍛えられることでしょう。
最終的には、君達が、それぞれの分野で独自の世界を切り開いてくれること、生を
楽しい、肯定的なものとして捉えられる社会を作っていってくれることを切に願ってい
ます。
そしてもちろん、君達自身が幸せに生きていけるように。
もっとも幸せとは些細なものを、大事にしていくことではじめて得られるものであることは心に留めておいて下さい。
240 名前:元塾講師:2005/10/02 14:57
問34:
先頭車両から順に1からnまでの番号のついたn両編成の列車がある。ただしn≧2とする。
各車両を赤色、青色、黄色のいずれか一色で塗るとき、隣り合った車両の少なくとも
一方が赤色となるような色の塗り方は何りか。  (2005 京大)
241 名前:元塾講師:2005/10/02 14:58
解答: 求める場合の数をAnとおくと、これは
?)1両目が赤色のとき:
  残りの2~n両目を取り出すと、隣り合った車両の少なくとも一方が赤色となっていなけれ
  ばならず、このような場合の数はAn-1通り。
?)1両目が青色または黄色のとき:
  2両目が赤であることが必要で、残りの(n-2)両の車両を取り出すと、隣り合った車両の少
なくとも一方が赤色であるから、このような場合の数は、2 ×An-2通り。
よってAn = An-1 + 2An-2  (n≧4)
∴ An + An-1 = 2 (An-1 + An-2) …?   , An - 2An-1 = (-1) (An-1 - 2An-2) …?
? より数列{An + An-1}は公比2の等比数列であり、
An+1 + An = 2^(n-2)・(A3 + A2) = 2^(n+ 2) (n≧2) ?'
? より数列{An - 2An-1}は公比-1の等比数列であり
An+1 - 2An = (-1)^(n-2)・(A3 - 2A2) = (-1)^(n-2) = (-1)^n (n≧2) ?'
〔∵2両であれば赤―青or黄or赤 、青or黄―赤が題意をみたし、A2 = 5 。
  3両であれば赤―青or黄―赤 、赤―赤―青or黄or赤、青or黄―赤―青or黄or赤
  が題意をみたし、A3 = 11。〕  ?' - ?'より、  An = 1/3{2^(n+ 2) + (-1)^(n+1)} (答)
242 名前:元塾講師:2005/10/02 15:00
解説:
Anを求めようとして、考えられるcaseを樹形図にでもしようとすれば、はじめの
いくつかは場合分けしても、以降は以前の状況(An-1とかそれ以前のcase)に結
びつくことに気付くだろう。これにより漸化式が立つ。本問の類題は京大、東大
に多くあるのでまとめて取り組んでおきたい。
(京大後期1996確率 、東大1990確率などは特に類題と考える)
243 名前:元塾講師:2005/10/02 15:03
補足、コラム:
是非実感して欲しいのだが、漸化式は「立てなければいけない」という性質のものでははい。
私の感覚では、立てざるを得なくなったり、必然的に勝手に立ってしまう、(nの状態を直接
考えていっても、どうしてもn-1の状態、又はそれ以前の状態に依存して決まるので漸化式が
立つし、立てるのが自然だということ)、又は立てる方が楽になるという性質のものである。
もっとも、初心者は「~のときは~しなければならない」という義務、法則にまとめながら
各問を把握していくことが大切なのかもしれない。
しかし、類題を繰り返し解いていくうちに、こういう考えはごく「自然な発想」になっていく
ものだろう。そのときはじめて「~しなければならない」という義務感から解放され、「自然
に~する」とか「いろいろある考えの一例として~と考えてみると」というように、自由身軽
に数学的な考え方をとることが出来るようになってくるのだろう。
確率の問題は漸化式を立てるタイプの問題と、求める状況を解釈、分類整理して正確に各場合
の数を数えるないし計算する問題、の2つに分けられるんだ考える人も多いと思う。
しかし、結局、求める状況を解釈、分類整理して正確に各場合の数を数えるというのが基本で
その中で場合の数を求めるに際して、帰納的結びつきが発見される為、漸化式が立つし、立て
ざるを得なくなるというのが自然な流れなのである。
244 名前:元塾講師:2005/10/02 15:09
>>241
求める「場合の数は」というより、「色の塗り方は」と表現しておいた方が
分かりやすいかも知れません。
他のヶ所も訂正しておいて下さい。
245 名前:元塾講師:2005/10/05 11:06
問35:
n枚の100円玉と n+1枚の500円玉を同時に投げたとき、表の出た100円玉の枚数より
表の出た500円玉の枚数の方が多い確率を求めよ。   (2005 京大後期)
246 名前:元塾講師:2005/10/05 11:12
解答:
n枚の100円玉を投げたとき表の出る枚数をa枚、n枚の500円玉を投げたとき表の出る枚数
をb枚とおく。a>bとなる確率と、a<bとなる確率は対称性より等しく、これらをAnとおき、
またa = bとなる確率をBnとおけば、2 An + Bn = 1   ?
このn枚の500円玉を投げた結果を得た上で、あと1枚500円玉を投げた場合に、表の出る
枚数がaより多くなるのは
?)そもそもa<bの場合     又は
?)a = bでありかつ追加で投げた500円玉が表の場合
であるから求める確率は、An + 1/2Bn 。これは?より1/2に等しい。 (答)1/2
247 名前:元塾講師:2005/10/05 11:13
解説:
まずはn枚同数での状況を基に考えると考えやすいだろう。求める状態はこれに帰納的に
結びつく。感覚的には漸化式を立てる問題に近い感じがするので、2005の京大は同じよ
うな確率の問題を2題並べたことになる。(もっとも確率もすべて同じような問題といえ
ばそれまでだが。)2001東大確率は特に類題と考えられるのでこれも取り組んでおくと
良いだろう。
なお直接、状況を分類して、足し合わせても答えは出る。C (組み合わせ)についての性質
を復習する良い機会なのでこちらも示しておく。その他Cに関してはいくつか有名な公式
(Pascalの三角形など)があったと思うので復習しておいて下さい。京大は文理を問わず、
昔から2項定理に絡ませる問題が多いようです。
248 名前:元塾講師:2005/10/05 11:14
別解:
n枚の100円玉を投げたとき表の出る枚数をa枚、n +1枚の500円玉を投げたとき表の出る枚数をb枚とおく。この状態が起きる確率は{nCa・(1/2)^n}・{n+1Cb・(1/2)^n}であるから、
a<bとなる確率はまずaを固定して考えると、
Σ(b = a+1~n+1){nCa・(1/2)^n}・{n+1Cb・(1/2)^(n+1)}。
次にaを固定をはずし、aを0~nまで変えて、各々の確率を加えて求める確率は、
Σ(a = 0~n)Σ(b = a+1~n+1){nCa・(1/2)^n}・{n+1Cb・(1/2)^(n+1)}
= (1/2)^(2n+1) Σ(a = 0~n){nCaΣ(b = a+1~n+1)n+1Cb}
= (1/2)^(2n+1) Σ(a = 0~n){nCa(n+1Ca+1 + n+1Ca+2 + … + n+1Cn+1)}  (☆)
249 名前:元塾講師:2005/10/05 11:15
ここで一般にnCk = nCn-k であるから、
K = Σ(a = 0~n){nCa(n+1Ca+1 + n+1Ca+2 + … + n+1Cn+1)}
= Σ(a = 0~n){nCn-a (n+1Cn-a + n+1Cn-a-1 + … + n+1C0)}
= Σ(n-a = n~0){nCn-a (n+1Cn-a + n+1Cn-a-1 + … + n+1C0)}
= Σ(k = 0~n){nCk (n+1Ck + n+1Ck-1 + … + n+1C0)}   〔 n-a =k とおいた〕
= Σ(a = 0~n){nCa(n+1Co + n+1C1 + … + n+1Ca)}   〔k→aとおきかえた〕
よって、
Σ(a = 0~n){nCa(n+1Ca+1 + n+1Ca+2 + … + n+1Cn+1)}
+ Σ(a = 0~n){nCa(n+1Co + n+1C1 + … + n+1Ca)}
=Σ(a = 0~n){nCa(n+1Co + n+1C1 + … + n+1Cn+1)}
=Σ(a = 0~n){nCa(2^(n+1))} = 2^(n+1)Σ(a = 0~n)nCa     〔∵二項定理〕
= 2^(n+1)・2^n = 2^(2n+1)  ∴2K = 2^(2n+1) ∴K = 2^(2n)
求める確率は、(☆)より、(1/2)^(2n+1)・K = 1/2 (答)
250 名前:元塾講師:2005/10/05 11:17
解説:
書けば上記のように、ややこしいが、n+1Ca+1 + n+1Ca+2 + … + n+1Cn+1の部分をもっと見やす
くするために、n+1Cn-a + n+1Cn-a-1 + … + n+1C0と書きなおすと、
この2つが補完の関係にあり、加えることで計算が進むのではないかとすぐ感じることであろう。
上記のように、K + K は2項定理で綺麗に計算されていくので、ここからKを求める。
このように計算を進めていくうちに補完するための量が現れ、このお互いを他で表現するという
補完関係から、ある量を求めていくことはしばしば経験することであろう。(1994京大後期6番
なども参照。良く分からんが、男女の補完関係もこんなものかも知れない。いわゆる恋愛方程式
である。自己は他者との対比、向き合いにより顕在化する存在なのである。)
特に微積分計算で多いようであるが、ご存知のとおり、Σも∫(= sum) も共に和という意味なの
で、(簡単に言えば、整数値で変えて足すか、区間内で連続的に加えるかの差で記号を使い分け
ているに過ぎない)同様の計算方法と解釈してもらえば良いだろう。



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