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NO.10389757

みんなで難関大数学を攻略しよう!

0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!

では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)

解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2

本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
338 名前:名無しさん:2006/01/15 11:57
元塾講師さんご苦労様です。
339 名前:元塾講師:2006/01/15 14:38
問題41の解答が表記の関係でおかしくなってしまったので、再掲しておく。
各自ダッシュをバーに直して、読んで欲しい。
340 名前:元塾講師:2006/01/15 14:40
解答:
Rの定義よりPR //PQ ? かつ OR ⊥PR ? 。これを複素数の式で表すと、
? より (ω-α)/(β-α) は実数で、(ω-α)/(β-α) = (ω'-α')/(β'-α')
  ⇔ (ω-α) (β'-α') = (ω'-α') (β-α) ?
? より ω/(ω-α) は純虚数で、 ω/(ω-α) = -ω'/(ω'-α')
⇔ 2│ω│^2 - ωα' - ω'α = 0 ⇔ │ω- (1/2)α│= (1/2) │α│  ?
ωは??を満たす複素数として1つに決定される。
341 名前:元塾講師:2006/01/15 14:43
(必要性の証明)
ω =αβのとき、ωは??を満たすことから、?に代入して
│α││β- (1/2)│= (1/2) │α│ ∴│β- (1/2)│= 1/2   〔∵│α│≠0 〕
全く同様にOR⊥QRから∴│α- (1/2)│= 1/2が導かれるので示された。

(十分性の証明)
│α- (1/2)│= 1/2 , │β- (1/2)│= (1/2) (☆)のとき、?かつ?を満たすωがαβに
一致することを示せばよいが、??を満たすωは図形的に1つに決定しているので、ω =αβ
が?,?の解であることを確認すれば足りる。
ω =αβとすれば、?⇔│α││β- (1/2)│= (1/2) │α│。これは(☆)のとき成り立つ。
また、ω =αβとすれば、?⇔(αβ - α)(β' - α' ) = (α'β' -α' )(β - α)
             ⇔│β│^2 (α - α') + │α│^2 (β' - β) = αβ' - α'β
であるが、(☆)のとき│α│^2 = (1/2)・(α + α') , │β│^2 = (1/2)・(β +β')なので、
この左辺=(1/2)・(β +β') (α - α') + (1/2)・(α + α') (β' - β) = 右辺
よって?も確かに成り立つ。
以上より(☆)のとき、ω =αβは?、?を成立させるので??の解といえる。∴ω =αβ。
(証明終わり)
342 名前:元塾講師:2006/01/15 14:45
コメント:尚表記上、αの共役複素数をα'で示している。バーを書いても文字に反映されな
いようなので。読みにくくて申し訳ないが、ご容赦を。従って、α・α' = │α│^2である。
343 名前:元塾講師:2006/01/15 14:47
補足:
「Rの条件は垂線の足ということで、これはRがPQ上にあることとORとPRが垂直になる
という2条件で1つの点に決定される。」ことは既に述べたが、これをORとPQが垂直に
なるとしても構わないのは勿論である。ただ微妙に答案が違ってくるので、念のため
解答をつけておく。解答を研究するだけでも論証力と計算力が鍛えられそうなので、
こちらも取り組んでおいて欲しい。
344 名前:名無しさん:2006/01/15 14:47
解答1の補足:
Rの定義よりPR //PQ ? かつ OR ⊥PQ ? 。これを複素数の式で表すと、
? より (ω-α)/(β-α) は実数で(ω-α)/(β-α) = (ω'-α')/(β'-α')
⇔ (ω-α) (β'-α') = (ω'-α') (β-α) ?
? より ω/(β-α) は純虚数で ω/(β-α) = -ω'/(β'-α')
⇔ ω(β'-α') + ω' (β-α) = 0 ?
ωは??を満たす複素数として1つに決定される。
345 名前:名無しさん:2006/01/15 14:50
(必要性の証明)
ω =αβのとき、?,?に代入して整理すると
(α-α')│β│^2 = (β-β')│α│^2 + αβ' - α'β     ?
(α+α')│β│^2 = (β+β')│α│^2                ?
?の両辺に(α+α)を掛け、?を用いると(│β│^2 を消去すると)
2(αβ' - α'β)│α│^2 = (αβ' - α'β)(α+α') を得る。
ここでαβ' - α'β≠0であるから〔∵αβ' - α'β = 0とすれば、α/β=α'/β'であり、
これはα/βが実数つまり、実数を用いてα= kβであることを示す。これは図形的には
PQが原点Oを通ることを示すのでω= 0この時ω =αβは成立しないので、ω =αβという
条件の下ではαβ' - α'β≠0が必要である〕辺々をこれで割って、
2│α│^2 = α+α' ⇔│α- (1/2)│= 1/2。
全く同様に?の両辺に(β+β')を掛け、?を用いると(│α│^2 を消去すると)
│β- (1/2)│= 1/2が導けるので、点P、Qは中心A(1/2)半径1/2の円周上にある。

(十分性の証明)
│α- (1/2)│= 1/2かつ│β- (1/2)│= 1/2 のとき、即ち│α│^2 = (1/2)(α+α') 
,│β│^2 = (1/2)(β+β')のとき、?、?が成り立つ。これはω =αβが?、?の解である
ことを示すので、?、?を満たすRについてもωとαβは一致する。      (証明終わり)
346 名前:名無しさん:2006/01/15 14:53
コメント:
他に幾何的アプローチでの解法もできるようである。自分の向き不向きを考えてどういうアプ
ローチが自分にとって実践的かも考えておいて欲しい。
一般的に初等幾何による解答というのは、その場のひらめきに左右されるのと、説明に時間が
かかるが、向いている人には早くかつ簡潔な答案が書けることが多い。ただ、all or nothing
になりやすいので、こればかりではつらいこともある。
代数幾何的なアプローチ(幾何的状態の代数表現)は、はじめの設定をうまく作れれば後は
計算あるのみであるので分かりやすいが、計算のセンスは必要かもしれない。
もっとも、普段の基礎学習ではすべての解答に目を通して、あるいは自分でも別解を考えてみて、
いろんなアプローチを勉強しておくべきであろう。特に幾何的解法は、図形問題、代数幾何の
問題に限らず、関数、単純計算においても重要なものになることが少なくない。
式処理のところでも何回か述べたことだと思うが、「図形を式で表現していくのと同様、
式が図形状態を表す」という視点を持つことも大切であると強調しておく。
347 名前:元塾講師:2006/01/15 14:59
引き続き図形と式。次はベクトルと初等幾何による処理に関する問題を数問。
いよいよ図形色を濃くしていくので、請うご期待。(後日)

もう複素数の解答を打ちこむのは懲り懲り…。では、素晴らしき学生生活と青春を。
348 名前:名無しさん:2006/01/16 05:28
お疲れ様です。ご無理をなさらず引き続きよろしくお願い致します。
349 名前:名無しさん:2006/01/17 22:34
gj
350 名前:名無しさん:2006/01/18 06:31
初等幾何。niceな響きです。
期待しています!!
351 名前:311:2006/01/18 09:09
複素数平面って確か今は高校数学では取り扱っていないんだっけ?
浪人生は別ですが・・・。
352 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:24
じゃ、スレ主さんが休息を取られている間、30の問題について一寸考えておきましょう。
まず、この問題を解くカギとなる式から
問.正の数a,xに対してa^x≧x^aがxの恒等式となるような(任意のxに対して成り立つような)aの範囲を求めよ。
353 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:24
解答.a^x≧x^a⇔xloga≧alogx⇔(loga)/a≧(logx)/x
ここでf(x)=(logx)/xとすると
f′(x)=(1-logx)/(x^2)であるので
0<x<eのときf′(x)>0
x=e のときf′(x)=0
e<x のときf′(x)<0
以上より、f(x)はx=eのとき最大値f(e)=1/eをとる。
よって求めるaの範囲は
(loga)/a≧1/e⇔a=e(等号はx=eのとき成立)
354 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:25
解説.この手の問題は次の?または?が定石ですね
?y=左辺、y=右辺の式を比較して、図形的に処理する。
?(変数の式)=(定数の式)と変形して(変数分離)変数の式の値域から定数の範囲を絞り込む。

では次の問題を解いてみましょう
問.不等式e^x≧x^eを解け
355 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:25
解答.前問の結果より、
x=eのときe^x=x^e
x≠eのときe^x<x^e

よってこの不等式の解はx=e
356 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:25
解説.さて、もう分かりましたね。x=eを除く全てのxでe^xよりx^eの方が大きくなるのです。
と、言うことはe^π<π^eは、あたりまえですよね。
このように値の不明な定数を使った式の大きさを比較する問題が出たときは
?不等式を変形する(√2だったら、1.4<√2<1.5、πだったら、3<π<3.1等)
?定義より変形(ガウス記号を使った問題は全てx≦[x]<x+1)
?ひとまず変数でおいて、その変数を使った式が成り立つ範囲にその定数があるかどうかを判定する

の3パターンを用いれば、大体の問題は解けます。ではでは
357 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:36
はい、いきなり間違いに気づきました。失礼。

>>354の訂正
正の実数xの不等式e^x≧x^eを解け

>>355の訂正
前問の結果より
x=eのときe^x=x^e
x≠eのときe^x>x^e

よってこの不等式の解は全ての正の実数x

>>356の訂正
さて、もう分かりましたね。x=eを除く全ての正の実数xでe^xよりx^eの方が小さくなるのです。
と、言うことはe^π>π^eは、あたりまえですよね。
358 名前:でしゃばりな奈々氏:2006/01/19 08:39
実際の値は
e^π=23.14……
π^e=22.45……
359 名前:名無しさん:2006/01/20 04:09
gj
360 名前:元塾講師:2006/01/20 14:51
問42:
円に内接する四角形ABPCは次の条件(イ)、(ロ)を満たすとする。
(イ) 三角形ABCは正三角形である。
(ロ) APとBCの交点は線分BCをp : 1 - p (0<p<1)の比に内分する。
このときベクトルAPをベクトルAB、ベクトルAC、pを用いて表せ。
                            (2000 京大)
361 名前:元塾講師:2006/01/20 14:53
Introduction:ある条件を満たす平面ベクトルを、(その平面を構成する)一次独立な2ベクト
ルで表示するという基礎的な問題なので取り上げた。
任意の平面ベクトルは、(その平面を構成する)一次独立な2ベクトル、ベクx , ベクyを用いて
一意的にa・ベクx + b・ベクy (a , b : 実数) という形で表現できる。実際にどのように
条件を用いて表現していくのかを、いろいろな問題で各自整理しておいて下さい。
362 名前:元塾講師:2006/01/20 14:55
解答:
正三角形の一辺の長さを1と決めても一般性を失わない。(必要なら、図形全体を拡大又は
縮小して考えれば良い。) また、以下ベクトルAB、ベクトルACをベクb、ベクcと略す。
まず、BCとAPとの交点をDとおくと ベクトルAD = (1 - p)・ベクb + p・ベクc  。
Pは直線AD上にあるから、ベクトルAP = k ・ベクトルAD = k(1 - p)・ベクb + kp・ベクc
 …?  と書ける。〔kは正の実数〕
さて、三角形ABCの外心 = 重心をGとおくと ベクトルAG = (1/3)・ベクb + (1/3)・ベクc で
あり、また、外接円の半径は(1/2)×(1/cos 30°) = 1 / √3 であるから、
Pの満たすべき条件は、さらに│ベクトルGP│ = 1/√3であれば良い。ここからkを求める。
?のとき、ベクトルGP = ベクトルAP - ベクトルAG
={k(1 - p) - 1/3}・ベクb + {kp - 1/3}・ベクc  
∴│ベクトルGP│^2 = {k(1 - p) - 1/3}^2 + {kp - 1/3}^2 + {k(1 - p) - 1/3}・{kp - 1/3}
= k^2・(p^2 - p + 1) - k + 1/3 
  〔∵│ベクb│= │ベクc│= 1 , ベクb・ベクc = 1/2〕
よって│ベクトルGP│ = 1/√3 ⇔ k = 1 / (p^2 - p + 1)   〔∵k≠0〕 なので、
ベクトルAP = {(1 - p)・ベクb + p・ベクc } / (p^2 - p + 1) (答)
363 名前:元塾講師:2006/01/20 14:57
解説:
ベクトルAPはベクトルADの実数倍であるから、あとはそれが何倍なのかが分かればよい。
つまり、AD:DPが分かればよい。これは図形的にも考えてみるべきだろう。
△ABD∽△CPDに着目すればすぐにこの比も求まる。(→別解)
ベクトルの問題としても、交点を求めるという基本問題であり、ベクトル演算になれて
もらう意味でここで取り上げた。
交点とは2つの図形の式を満たす点ということである。本問では、P(であることの必要十分
条件)はAD上にありかつ、円上にあることで、この2式を連立させて、この2式ともを満たす
ようなPをベクトル計算で求めていけば良い。
364 名前:元塾講師:2006/01/20 15:00
補足(初心者向け):
図形と式を扱う上でまず最初に取り組むべき課題は交点を求める(表示する)ことである。
結論を言ってしまえば、「交点を求める ⇒ 2式を連立させる 」という考え方でまとめ
ておけば良いだろう。例えば、xy平面上の2直線y = x +1 y = - x + 3 の交点を求めるとき
2直線の式を連立させて得る解が(x , y) = (1 , 2)なので答えは点( 1 , 2)とした。
これは直線y = x +1とは、この式を満たす(x, y)の集合であるし、直線y = - x + 3とは、
この式を満たす(x, y)の集合であるから、交点即ち両方の図形の上にある点(x, y)は
y = x +1という式も満たすはずだし、y = - x + 3という式も満たすはずだから、2式ともに
満たす(x, y)が2つの集合(図形)に属する点(共有点)の性質をあらわすことになる。
こういう基礎的な考え方は、ベクトル平面(斜交座標)でも、複素平面でも変わるわけはない。
もちろん、図形状態の表現形は変わるし、表現形が変われば、各世界での独自の計算法則に
従う必要はあるが。後は各分野の演算法則さえ慣れれば、本質部分は繰り返しということになる。
もっとも違いを指摘するなら後者の方が抽象的になっている。これはより一般化された状況での
結果を求めるということなので、より普遍的だということである。
365 名前:元塾講師:2006/01/20 15:04
例えばベクトルの最初の方で扱う問題では次のようなものがある。
「三角形ABCにおいて辺ABと4 : 1に内分する点をD 、辺ACを 2 : 3に内分する点を
Eとおく。直線CDと直線BEの交点をPとおくとき、ベクトルAPをベクトルAB、ベクトルAC
で表せ。」

教科書的な解答を書けば(メネラウスの定理を使うというのも実践的かとも思うが、ベクトルで
の解答を書けば):
「PはCD上にあるのでベクトルAP = (1 - t )・ベクAC + t ・ベクAD
                      = (1 - t )・ベクAC + (4t/5) ・ベクAB … ? と書け、
 PはBE上にあるのでベクトルAP = (1 - s )・ベクAB + s ・ベクAE
                      = (1 - s )・ベクAB + (2s/5) ・ベクAC… ? と書ける。  
PはCD上にありかつBE上にある点であり、同じベクトルAPが?かつ?のように表現できるの
で??を連立させ、ベクAB、ベクACが一次独立な2ベクトル(ベクトル平面を構成する2ベクトル)
であることに注意すれば、(1 - t ) = (2s/5)  かつ (1 - s ) = (4t/5)
∴s = 5/17 , t = 15/17 よってベクトルAP = (12/17 )・ベクAB + (2/17) ・ベクAC」
366 名前:元塾講師:2006/01/20 15:07
これは次のように解いたのと本質的に変わらない。(具体的な設定を定めて)
「Aを原点としB(1, 0) C(0 , 1)と設定すれば(xy斜交座標)、D(4/5 , 0) E(0 , 2/5)だから
直線CDの式は5x/4 + y = 1 , 直線BEの式はx + 5y/2 = 1 この2式を連立させて解くと
(x , y) = (12/17 , 2/17)よってベクトルAP = (12/17 , 2/17)
= 12/17(1, 0) + 2/17(0, 1) = (12/17 )・ベクAB + (2/17) ・ベクAC」

尤も、高校数学の説明で収めようと思うと、
「Aを原点としB(1, 0) C(0 , 1)としたxy直交座標系で考えたとき、交点(12/17 , 2/17)に対
してベク(12/17 , 2/17)= (12/17 )・ベク(1,0) + (2/17) ・ベク(0,1)(※) が成り立ち、ここで
ベク(1,0)、ベク(0,1)をベクAB 、ベクACに移す一次変換fを考えると、一次変換により原点
は原点に、交点は(変換後の図形においても)交点に移ることから、(※)の両辺にfを作用
させて一次変換の線形性を用いると、ベクトルAP = (12/17 )・ベクAB + (2/17) ・ベクAC」
という説明されよう。
367 名前:元塾講師:2006/01/20 15:08
以上よりアドバイスをするならば、一次変換に慣れている方ならば、具体的な座標設定をして
本問をといても構わない。((1,0)と(0,1)を各問題で基本となる一次独立2ベクトルに
移す一次変換を考えることによりxy直交座標系での具体的な状況を、問題とされているベクト
ル平面での状況に抽象化できる。)
ベクトルとか、複素数平面での扱い(文字・記号を用いた演算)は、xy直交座標平面での扱
いと比べてやや抽象的なものになる分、より一般的な状況についての解析をしていくという
ことになり、結果も各世界を構成する基本要素を用いて一般的に表現できる。各世界の演算
法則に慣れてしまえば、新しく学ぶことは基本的にはないはずであるし、抽象的な問題にな
れば、その表現の方が簡単で分かりやすいことがしばしばである。              
                                (以上補足終わり)
368 名前:元塾講師:2006/01/20 15:10
別解:
BCとAPとの交点をDとおくと ベクトルAD = (1 - p)・ベクAB+ p・ベクAC  。
また、△ABD∽△CPDであり、AD :CD = BD :PD   ここでBD = p ,
AD =√(p^2 + 1^2 - 2・1・p・cos60°) = √(p^2 - p + 1) (△BADにおいて余弦定理を用いた) 
, CD = 1 - p なので、残るPD = p(1 - p)/√(p^2 - p + 1) 。
よってAP/AD = (AD + PD) /AD = 1 + p(1 - p)/(p^2 - p + 1) = 1 / (p^2 - p + 1) なので
ベクトルAP = {1 / (p^2 - p + 1)} ・ベクトルAD
        = {(1 - p)・ベクAB + p・ベクAC }/ (p^2 - p + 1) (答)
369 名前:元塾講師:2006/01/20 15:12
問43:
平面上の三角形ABCにおいて、頂点Aを通り辺AB、ACに垂直な直線をそれぞれ、h , k
とする。Bのk に関する対称点をB ' 、Cのk に関する対称点をC ' とする。
ベクトルAB , ベクトルAC , ベクトルA B ' , ベクトルA C '  をそれぞれ b , c , b ' , c '
と略す。
b ' = b + c , c ' = mb + c ( mは正の整数 ) , │b│ = 1 が成り立つとき、
m , ∠BAC , および│c│を求めよ。ただし、│a│はベクトルa の長さを表す。
0<BAC<πとする。                (1972 東大)
370 名前:元塾講師:2006/01/20 15:15
訂正:>>369 の最後
「0<BAC<πとする。」 → 「また、0<∠BAC<πとする。」 
371 名前:元塾講師:2006/01/20 15:16
Introduction:
正射影ベクトルをテーマにしている問題なので取り上げた。これをテーマにする問題も数多い。
372 名前:元塾講師:2006/01/20 15:19
解答:
BB ' とACはともにkに垂直であるから、 BB ' //AC 。
BB ' とk の交点をHとおくと、ベクトルHBはbをcの上に正射影して得られるベクトルで
あるから、ベクトルHB = {(b・c)/│c│^2} c
よって、b ' = b + 2・ベクトルHB = b - 2・{(b・c)/│c│^2} c …?
同様にCC ' とh の交点をIとおくと、ベクトルICはcのb上への正射影ベクトルであるか
ら、ベクトルIC = {(b・c) /│b│^2} b
よって、c ' = b + 2・ベクトルIC = c - 2・{(b・c)/│c│^2} b …?
?、?よりb ' = b + c , c ' = mb + c と書けるとき、b , c が一次独立な2ベクトルである
ことに注意すれば、- 2・{(b・c)/│c│^2} = 1 , - 2・{(b・c)/│c│^2} = m
ここで│b│= 1 であり、θ=∠BACとおくと (b・c) = │c│cosθであるから
-2cosθ=│c│ , -2│c│cosθ = m  …?      ∴m = 4・(cosθ)^2  …(※)
ここで0<θ<πのとき-1<cosθ<1であるから0<m<4  ∴m = 1 or 2 or 3
373 名前:元塾講師:2006/01/20 15:21
以下場合分けをして考える。
?のとき、│c│>0より、cosθ<0即ちπ/2<θ<π が必要であることに注意すれば、
(?)m = 1 のとき(※)よりcosθ= ±1/2  ∴θ = 2π/3  このとき、?より│c│= 1  
(?)m = 2 のとき(※)よりcosθ= ±1/√2  ∴θ = 3π/4   ?より│c│= √2 
(?)m = 3 のとき(※)よりcosθ= ±√3/2  ∴θ = 5π/6  ?より│c│= √3 
(?),(?),(?)をまとめて、
(m ,∠BAC ,│c│) = (1 , -1/2 , 1), (1 , -1/√2 , √2) ,(1 , -√3/2, √3)  …(答)
374 名前:元塾講師:2006/01/20 15:26
解説:
c ' = mb + c という与え方からも気づくと思いますが、c ' - c // b (即ちCC '//AB)です。
これは図で確認できる。後はベクトルCC 'の大きささえ分かればよいが、これはθを用いる
のなら2│c│cosθである。正射影ベクトルの公式を頭に思い浮かべれば、これをベクトル
b , cで表現できるでしょう。
正射影ベクトルについて:
a のb の上への正射影ベクトルとは、a をbに垂直な方向から見たときに投影される影のベクトルであるがこれはbに平行で長さが│a│cosθ(逆向きのときはこの長さは負になる)のベクトルである。ベクトルb 方向の単位ベクトルはb /│b│であるから、これと同方向の長さ
│a│cosθのベクトルは (│a│cosθ/│b│) b = {(a・b)/│b│^2} b 。
                 〔分母・分子に│b│を掛け、分子に内積の定義を用いた〕
これが正射影ベクトルの公式になるが、これは次のように求めてもよい。つまり
正射影ベクトルをtb (t : 実数)とおくと
図より tb - a ⊥b だから、t │b│^2 - (a・b) = 0 ∴ t = (a・b)/│b│^2
従ってa のb の上への正射影ベクトルは{(a・b)/│b│^2} b  。

これは、すぐに導き出せるようになっておくべきでしょう。
375 名前:名無しさん:2006/01/22 14:12
おつかれさまです。とても勉強になるので、楽しく拝見しとります。
376 名前:元塾講師:2006/01/23 10:21
>>372 訂正:解答中
「よって、b ' = b + 2・ベクトルHB = b - 2・{(b・c)/│c│^2} c …? 」
→「よって、b ' = b + 2・ベクトルBH = b - 2・{(b・c)/│c│^2} c …? 」

「よって、c ' = b + 2・ベクトルIC = c - 2・{(b・c)/│c│^2} b …?」
→「よって、c ' = b + 2・ベクトルCI = c - 2・{(b・c)/│c│^2} b …? 」

>>369 訂正:問題中
「Bのk に関する対称点をB ' 、Cのk に関する対称点をC ' とする。」
→「Bのk に関する対称点をB ' 、Cのh に関する対称点をC ' とする。」
377 名前:元塾講師:2006/01/23 10:24
コピーペーストで打っているとこんなミスばかりになってしまいました。
とりあえず気がつけば書きなおししますが、汲み取って読んでくださいね。
なお、自分のミスも直したついでに他人のミスも直しておきます。
(せっかく書きこんでくれて申し訳ないのですが…本人からの訂正が無いので)

>>356 ガウス記号のはずし方について改訂 
ガウス記号はその中身の実数を越えない最大の整数を意味するので、
[x] = k (k : 整数)となるx の範囲は k ≦x <k + 1 …?です。(これは定義より)
k = [x] を用いて?をx のみの関係式にすれば [x] ≦x <[x] + 1 であり、
さらに同値変形すれば、x - 1 <[x] ≦x となります。

この式(x - 1 <[x] ≦x) は頭で覚えようとすると必ず混乱しますので、なるべく分かりやすい
考え方で論証して下さい。落ちついて考えれば当たり前の式ですが。
なお、「ガウス記号をはずして考えるために、ガウスの中身xを用いて不等式で評価する」というこ
とは、まずはじめにやる基本的な式の扱いです。難関大数学の問題で、これさえ使えれば解けると
いう問題はいくらなんでもないと思います。私がガウス記号の問題で解答のキーになると考える事柄
があるとすればそれは[x]が整数であることだと思います。不等式評価でガウス記号をはずすことは
まずやるべきことでしょうが、不等式評価では粗い数式の扱いになりますから、必要条件として数式
が扱えるに過ぎません。したがって十分性を意識しておかないと不等式評価から何も抽出できない
ことが少なくないと思います。特に整数問題では[x]が整数であるという当たり前の認識が最後まで
頭に入っていることが式の解釈上、大切と考えています。
378 名前:元塾講師:2006/01/23 10:31
問44:
点Oで角60°をなす半直線OX ,OY と∠XOYの2等分線OZがあり、OX ,OY上にOから
1cmの距離にそれぞれ点A , Bがある。いま動点P , Q , RがそれぞれA , O , B
から同時に出発して半直線上OX , OZ , OYをそれぞれ毎秒1cm, √3cm, 2cm の
速さでOから遠ざかる。
(?)3点 P , Q , Rが一直線上にくるまでの時間
(?)△PQRの面積が△AOBの面積に等しくなるまでの時間を求めよ。
          (1961 東大)
379 名前:元塾講師:2006/01/23 10:32
IntroductIon:角の2等分線をテーマにした問題なので載せました。ベクトルでの処理を知って
おいてもらう必要があるでしょう。(ちょっと古い問題ですが、ベクトルを理解してもらう上で
外し難い1問と思ったので採用。勿論、今でもよく出題されているテーマですよ。)
380 名前:元塾講師:2006/01/23 10:33
解答1:
t秒後の3点の位置はOP = 1 + t , OR = 1 + 2t , OQ = √3・t (cm) である。
P , Q , Rが一直線上にあるとき、△OPRにおいてOQは∠PORの2等分線なので、
RQ:PQ = OR:OP = (1 + 2t):(1 + t)
よって、ベクOQ = {1/(2 + 3t)} ・{(1 + 2t)ベクOP + (1 + t)ベクOR} 。
ここで│(1 + 2t)ベクOP + (1 + t)ベクOR│^2
= (1 + 2t)^2・│ベクOP│^2 + (1 + t)^2・│ベクOR│^2 + 2(1 + 2t)(1 + t)(ベクOP・ベクOR)
= 2(1 + 2t)^2 ・(1 + t)^2 + 2(1 + 2t)^2 ・(1 + t)^2cos 60°
= 3(1 + 2t)^2 ・(1 + t)^2であるから
│ベクOQ│ = │1/(2 + 3t)│ ・│(1 + 2t)ベクOP + (1 + t)ベクOR│
     = √3・(1 + 2t)(1 + t) / (2 + 3t)
これが√3・tに等しいので、(1 + 2t)(1 + t) = t (2 + 3t) ⇔ t^2 - t - 1 = 0
                       ∴t = (1 + √5)/ 2  〔∵t >0〕 … (?)の(答)
381 名前:元塾講師:2006/01/23 10:34
解答1の解説:一番、基礎的な三角形の内線ベクトルの求め方である。
なお、本質的には一緒の解答であるが、別のアプローチから書いた答案として解答2がある。
解答1がQがPR上にあるという前提から、この長さをベクトル表示を通じて求め、それが
√3・tという長さに一致するということから条件を求めたのに対し、解答2は∠PORを2等分
する方向へ√3・t進んだ点をベクトルでまず表示し、この点QがPR上にあるということから
条件を求めている。角の等分線の解釈の仕方では本質的に同じであるが、解答2のような視点
を持っていると直接的に角の2等分線を表示できるので解答2の方がお薦めである。)
382 名前:元塾講師:2006/01/23 10:35
解答2:
t秒後の3点の位置はOP = 1 + t , OR = 1 + 2t , OQ = √3・t である。
P , Q , Rが一直線上にあるとき、△OPRにおいて線分OQは∠PORの2等分線である。
ベクトルOP方向の単位ベクトルは {1/(1 + t)}・ベクトルOP
ベクトルOR方向の単位ベクトルは {1/(1 + 2t)}・ベクトルOR
この2つの単位ベクトルの和{1/(1 + t)}・ベクトルOP + {1/(1 + 2t)}・ベクトルOR は
∠PORの2等分線の方向を持つベクトルであり、その長さは∠POR = 60°に注意すれば
1辺が1の長さを持つひし形の対角線の長さ√3である。OQはこれに平行でOQ = √3・t
であるから、ベクトルOQ = {t/(1 + t)}・ベクトルOP + {t/(1 + 2t)}・ベクトルOR
P , Q , Rが一直線上(QがPR上)にあるとき、係数について{t/(1 + t)} + {t/(1 + 2t)} = 1
∴t(2 + 3t) = (1 + t)(1 + 2t)  これをt >0に注意して解いてt = (1 + √5)/ 2 … (答)
383 名前:元塾講師:2006/01/23 10:36
解答2の解説:応用範囲も広く是非マスターして欲しい解答である。ポイントは、
『角の2等分線の方向は、角を作る2ベクトルの単位ベクトルを足せば良い』のである。
この和ベクトルは、一辺の長さ1のひし形の対角線のベクトルになるので案の定、2ベクトル
のなす角を2等分する方向を持つベクトルとなる。ただ、このベクトルは長さが1でないこと
には注意を要する。
384 名前:元塾講師:2006/01/23 10:40
解答3:
OPをx 軸とする、図のようなxy直交座標系をとって考える。 (図は略)
t秒後の3点の座標はP (1 + t , 0) , R ((1 + 2t)cos 60°, (1 + 2t)sin 60°) ,  
Q (√3・t cos 30°, √3・t sin 30°)である。
∴ベクトルPR = (-1/2 , √3・(1 + 2t)/ 2 ) , ベクトルPQ = ((t - 2)/2 , √3・t/ 2 )
P , Q , Rが一直線上にあるとき、
ベクトルPR//ベクトルPQ ⇔ (-1/2)(√3・t/ 2) -{√3・(1 + 2t)/ 2}・{(t - 2)/2} = 0
          ⇔ t^2 - t - 1 = 0 ∴t = (1 + √5)/ 2  〔∵t >0〕 …(?)の(答)
また、△PQR = 1/2 │(-1/2)(√3・t/ 2) -{√3・(1 + 2t)/ 2}・{(t - 2)/2}│
         = √3/4 │t^2 - t - 1│
であるから、これが△AOB = (1/2) ・1・1 ・sin 60°= √3/4
に等しいのは、t^2 - t - 1 = ±1のときで、 t = 1 or 2 〔∵t >0〕 … (?)の(答)
385 名前:元塾講師:2006/01/23 10:41
解答3の解説:具体的な問題なので、ベクトルで抽象化してやらなくても、具体的に座標系を
あてはめて、具体値で計算しても良い。尚、2ベクトル(a , b ) と(c , d)で形成される
三角形の面積は 1/2 │ad - bc│であることは重要公式である。これは覚えておいた方が便利。
いちいち1/2│ベクx││ベクy│sinθ = 1/2│ベクx││ベクy│√(1 - (cosθ)^2)
                  = 1/2 √{│ベクx│^2・│ベクx│^2 - (ベクx・ベクy)^2}
                  = 1/2 √{(a^2 + b^2)・(c^2 + d^2)^2 -(ac + bd)^2}
                  = 1/2 │ad - bc│
と毎回(頭の中で)計算してもよい。 
386 名前:元塾講師:2006/01/23 10:42
解答4:QがPR上にある時、(△OPRの面積を線分OQで分割して考えると、)
△OPQ + △ORQ = △OPR   
∴(1/2)・(1 + t)・OQ・sin30°+ (1/2)・(1 + 2t)・OQ・sin30°= (1/2)・(1 + t)・(1 + 2t)・sin60°
∴(1/4)・(2 + 3t)・OQ = (√3/4)・(1 + t)・(1 + 2t)
このOQがいま√3・t に等しいので、t(2 + 3t) = (1 + t)・(1 + 2t)
これをt >0に注意して解いてt = (1 + √5)/ 2 … (答)
387 名前:元塾講師:2006/01/23 10:44
解答4の解説:OQの長さの求め方(△OPRが決まっている時の内線の求め方)について、
解答1ではベクトル表示して計算するという方法で求めたが、幾何的にやるのなら、三角形の
面積を2通りで表すという方法がある。即ち一通りは内線を用いて、もう一通りは全体像から。
解答では、△OPQ + △ORQ = △OPRと書いた上で、
左辺はOQを用いて求められる量で、右辺はOQを用いない定量で求まる。
ここからOQの長さを求めることが出来るのである。
「内接円の半径を求めるとき、内線を求めるとき、高さを求めるときなどは、面積・体積を
2通りで」表すことにより簡単に求まる。という標語でも作っておくと良いかもしれない。
結構、応用範囲は広い。
ちなみに、三角形OABにおいて、OA = a , OB = b , であり辺AB上の点をXについて、
線分OXが∠AOBをθ, ψに分けるとすれば、(∠AOX = θ, ∠BOX = ψのときということ)
AX:BX = △OAX : △OBX = (1/2)・OA・OX・sinθ :(1/2)・OB・OX・sinψ
= OA・sinθ : OB・sinψ  となる。
特にθ = ψのとき、AX:BX = OA:OB となる。
これは角の2等分線での公式であるが、このように面積に注目すれば容易に証明できる
ことも付け加えておく。



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